4話目(八雲、サラ、晶) ( No.3 ) |
- 日時: 2006/02/20 02:57
- 名前: くらんきー
- 私はサラ・アディエマス。八雲の親友です♪ 初めて八雲に出会ったのは今年の春でした。
一匹の野犬が学校の中に入ってきた事件をきっかけに、私達は出会い、友達になりました。 私は彼女と親友になれた事を、神様に感謝してもしきれないくらいです。
そして最近、私の親友は少し変わりました。 どう変わったかというと・・・
「やっくも♪ 最近、何かいいことあったの?」 「え? どうして?」
「うん。 八雲なんだか、よく笑うようになったなぁ・・・って思って」
そうなんです。八雲は前より明るくなって、よく笑うようになりました。 これは親友として嬉しい事ですよね〜♪ なんだか私までつられて笑顔になっちゃいます。
え? べ、別に八雲をからかってニヤニヤしてるってワケじゃないですよ!?
HE WAS GOD 〜HYPER ONIGI RE−MIX〜 4話目
「え?? ・・・そ、そう?」 「うんうん。そーだよ、八雲♪ 前より明るくなったみたい。綺麗になったってカンジ。」
前から十分、綺麗だったけどね。 ・・・と続けるとサラは自分の事のように優しい微笑を浮かべ、その笑みをテーブルに乗せた両腕の上に飾っている。
「でもまあ、野暮な事は聞かないけどね〜♪ 播磨先輩でしょ? このこの〜♪」 「え!? サ、サラ! ちg・・・」
サラは何か恥ずかしいものを見るような目で八雲を見ると、ニヤニヤしながら肘で八雲をつつく素振りを見せる。 八雲は否定しようとしたが、途中で言葉が止まってしまう。
「と言いつつ完全に否定しない八雲でした。 うっひょー、ラブラブだね♪」 「も、もう・・・! サラ・・・」
んでもって今回は全く否定しなかったり・・・
きぃ・・・ ぱたん。
「で、実際のところ どうなの? 八雲?」 「実は最近、以前にも増して播磨先輩の事が気になるの。明るくなったのは そのせいじゃないかな?」
「え?」 「むふふふ〜〜♪ 八雲ったらやっぱり・・・・・・ って、え?」
「おはよ」
「「高野先輩!」」
二人の会話を聞いていた訳でもないのに、寸分違わぬ返答を返すお方。高野 晶。 しかも、またもや気配を消していたのか? 八雲もサラも気付かなかったらしい。 八雲はかなり驚いて焦っているが、サラは意外に(?)冷静で、晶に「おはよーございまーす♪」とか挨拶っている。
「どうして高野先輩が・・・?」 「あら、私が話に混ざると迷惑だった?」
ほとんど無表情でチラリと八雲の方を覗き見た。 赤の他人から見ればちょっと怖いかもしれないが、彼女をよく知る人物が見れば、微妙に笑っている様にも見える。
「いえ、そういう事ではなくて・・・ サラと話していた話の内容を、高野先輩が知ってるのは不自然・・・」 「八雲、八雲。 高野先輩がそんな事を知るなんて、『昨日の3時のおやつのポテチ前』だから」 「・・・・・・」
え、と・・・ 『朝飯前』・・・みたいなもの、かな・・・?
「なんてったって高野先輩は、湾岸でミサイルの雨をくぐりぬk「そんなワケ無いでしょ」
「もー先輩! 最後まで喋らせてくださいよぅ・・・」 「今度、時間があったらね」 「・・・・・・」
八雲は話についていけなかったが、なんとなく冗談には聞こえなかったような気がした。 そんな彼女は、1ターンほど様子を見ていたりする。
―――塚本 八雲、慎重派。
「ごめん、八雲。私にもお茶を淹れてもらえるかしら?」 「・・・あ、はい」
話についていけなくて おどおどしてる八雲に、晶はお茶を淹れてもらう事にした。 そして思わず返事をしてしまった八雲は・・・
さっきの晶のセリフを否定し損ねた。
でもまあ、実際はその通りだったりするんだけどね。 とは晶の言葉。 そんな晶姐さんはサラの正面に腰掛けると、ほとんど無表情の笑顔でサラに話し掛けた。
「八雲の変化に気付いたのね? サラ?」 「えへへ〜♪ あそこまで変わられちゃ、誰だって気付きますよー」 「じゃあ原因も分かってる?」 「八雲があんなに変わるなんて、播磨先輩の事しかないじゃないですかー」 「・・・そうね」
カチッ
「?」
そこまで話した晶は八雲の方に目をやり、携帯のボタンを一つ押した。 視線が自分から離れた事を不思議に思ったサラだが、疑問を口にする前に晶の説明が入る。
「あなたには話しておいた方がいいからね」 「へ?」
♪〜〜You got mail〜〜♪
「今送ったメールを読んでみて。声を出さずに」
全く意味が分からないサラ。 そして、1通のメールで彼女の表情は驚愕のものとなる事に・・・
「えーと、なになに・・・」
―――メールの内容――― (『 』はサラの心の声)
八雲は恐らく、播磨君LOVEでしょう。『やっぱり〜♪』 あなたが思っている通りね。でも、播磨君の好きな人物は・・・ 『ドキドキ』 こんな事、口が裂けても言えないからココに書き記すわ。 驚いちゃダメよ。って言ったところで驚くだろうし、 『焦らさないでくださいよー』 ホントかどうかを聞き返されるだろうから先に書いておくけど、ホントの事。焦らしてゴメン。
彼が好きなのは、塚本 天満。あなたも知っての通り、八雲のお姉さんよ。 『えええぇぇーーー!!』 静かに。声を出しちゃダメ。 播磨君は天満に会えるから学校に来ているようなものなのよ。 『じゃあ・・・』 まあ、反論もあるだろうけど続きを読んで。
近々、播磨君は天満に告白するでしょう。 『う、うそ・・・』 ちなみにホントの事よ。裏は取ってあるから。 で、天満に告白してフラレたら、播磨君は学校を辞めてしまうと思うの。 『えー! そんなー!』 「えー! そんなー!」って言われても事実だから受け止めて。
そんな事になったら八雲が悲しむでしょ? だからあなたにも播磨君が学校を辞めない方向へ持っていくのを手伝って欲しいの。
目を白黒させながら(深い意味は無し)メールを読んでいたサラだったが、 全てを読み終わると信じられない様なモノを見た といった感じのサラが晶の方に視線を向ける。 そして、その視線を受けて晶が呟く。
「サラ、受けてくれる?」 「・・・酷い・・・」
晶から視線を外し、俯き加減でサラが呟いた。 その小さな身体は震えているようにも思える。それだけ彼女は八雲の事を考えていたのだ。
「酷いです!」
サラにとって播磨の行動は、酷いと思われても仕方ない。なんと言ってもサラは、おにぎり派。・・・じゃなかった。サラは八雲の親友。 その親友の彼氏だと思っていた播磨が、八雲の姉である天満を好きになる・・・そんな運命をサラは残酷に感じた。 もしかして「神様のバカー!」とか思っているのかも知れない・・・ 最早、シスター失格です。
「ただでさえ最近出番が少ないのに、私のセリフを盗るなんて・・・高野先輩、ヒドーイ!」
―――そっちかよ!
サラは部室から脱兎のごとく飛び出す。
その頃八雲は、ちょうど晶に頼まれたお茶を入れ終わったところだった。 サラのセリフを聞いて、頭の上に3つほどの『?マーク』を浮かべる八雲。 と同時に、サラは『はぐれメタル』よりもすばやく部室を去っていったのだ。
「サ、サラ!?」
親友の奇怪な行動についていけなかった八雲は、中途半端に上げた片手を空中に止めたまま、彼女を見送るしかなかった。
「・・・悩み多き年頃ね。サラ・・・」
明後日の方向を見据えながらそんな事を呟く晶姐さん。
「そ、そうなんですか?」 「それはそうと・・・ 八雲」 「え? はい・・・」
強引な話題転換もなんのその。そんな彼女は、いつだって『強引ぐ MY WAY』 自分の信じた道を強引に行く。とどのつまりは マイペース。
「あなたに『恋愛に必要なモノ』を伝授してあげるわ」 「え? あ、あの・・・」
八雲からすれば、サラが走り去っていった事に余りにも関係のない話。 播磨の漫画で、いきなりの急展開や場面転換に 慣れているといえば慣れている彼女ですら、話についていけなかった。
「メモを取っておくように」 「は、はい!」
先輩、一体何を? とか思っていた八雲に、ピシャリと一言。 その言葉に返事をしたのは、思わず口から漏れてしまったからなのか? それとも、ちょびっと知りたかったからなのか? その辺りは定かではない。
八雲は、いそいそとメモ帳を取り出すと、シャーペンを1、2回ノックする。 そんな八雲を確認すると晶はゆっくりと口を開いた。
「10%の才能と・・・20%の努力・・・」 「え・・・と・・・ 10%の・・・」
真剣にメモを取る八雲。
「30%の臆病さ・・・残る40%は・・・」
「ごく・・・」
思わず息を呑み、シャーペンを持つ手に力がこもる。
「運・・・でしょうね・・・」 「運ですか・・・?」 「ええ、そうよ」
八雲がメモを取っているのを眺めながら、淹れてもらったお茶をもう一口。 そんな彼女が何を思っているのかなんて、誰も知る由もない。
「後、自分の背後に立たせない事よ」 「は?」 「・・・何でもないわ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
―――30分後、帰り道―――
高野先輩はどうして、イキナリあんな事を話し出したのかな? 微妙に私の知りたかった事だったし・・・
もしかしてあの女の子との話を知って・・・
そこまで考えた八雲は首を振った。
あの時は誰もいなかったし・・・ あの子が見えるかどうかも分からないし・・・ ・・・というより、あの空間には誰も入って来れないような気がする・・・
少し あの女の子の事を思い出す八雲。
でも・・・高野先輩だったら知ってそうな・・・
そこまで考えた八雲は、再度、首を振った。
―――塚本家―――
「あ、八雲、おかえり」 「姉さん、何してるの?」
八雲が我が家に到着すると、天満がテレビに向かい、なにやらゴソゴソとしている。 確か今日は『三匹が斬られる』は なかったはずなんだけどな・・・ と不思議に思った八雲は、姉に何をしているのか尋ねた。
「えへへ〜 晶ちゃんから『ゴル○13』のDVD借りたんだ〜 八雲も一緒に見ようよ〜〜」 「うん・・・ 姉さん」
ポチッ
という事で、DVD鑑賞タイムに入る2人。
「10%の才能と・・・20%の努力・・・」
・・・あれ? このセリフ、どこかで・・・
「俺の背後に立つな・・・」
・・・このセリフもどこかで・・・
はしゃいでいる天満の横で、初めて見るはずのDVDにデジャヴを覚える八雲だった。
―――どこまでが本気か分からない女。高野 晶。
続く・・・
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