Re: 君の素顔に恋をした(播磨×美琴,他) ( No.11 )
日時: 2006/12/05 00:52
名前: KEI

播磨のバイクは美琴の家の前で停車した。播磨は私にヘルメットを貸してたのでノーヘルで走っていた。私はヘルメットを脱いで、バイクから降りた。
 もっと播磨にしがみ付いて居たかったけどな〜
播磨はバイクを動かして、近くに止めた。ここだと車の邪魔になるので家の中へ入れた。

「それじゃあ入るぞ!!」
「ああ」

美琴は家のドアを開けた。ガチャ、ノブを回し、家の中へ入る。
玄関は靴が並べられていた。父親の靴と母親の靴だ。
播磨は遠慮気味に端に靴を脱いだ。

「そんな、遠慮するなって!!」
「いや・・人様の家だからな・・・」

播磨がこんな礼儀正しいなんて、思った以上だな。不良の播磨しか知らない奴らがこの行動を見たら、驚くだろう。美琴は播磨の靴の隣に靴を脱ぎ、台所に向かった。




「親父!播磨連れてきたよ」
「ど・・・どうも」

播磨は丁寧にお辞儀をする。親父は、豪快に笑いながら言った。

「そんな畏まらなくてもいいぞ!何せ美琴の初めての彼氏だからな」
「まだ!ち・・違うって!!馬鹿親父・・・」

美琴は赤くなって反論した。播磨は呆然と眺めているだけだった。

「まだ??って事はいつかそうなるのか!?」

親父がニヤニヤしながら美琴に尋ねた。だあーーーー何でうちの家族はこんな性格悪いんだ〜〜美琴は口では家族には勝てないのだ。
自分で自爆・・・それが美琴の欠点だった。

「播磨も見てないで何か言えよ!!」
「いや・・・何かこういうのって良いなと思って。」

播磨は一方的に絃子に脅されたり、殴られたりするので
こういうのは新鮮に感じていた。

「さあさあ、播磨君飲んで飲んで」

美琴の親父は播磨のコップにお酒を付いている。
播磨はそれをゴクゴク音を立てながら飲み干す。私はちょっと控えめに飲んでいる。たぶん、播磨は酔いつぶれるだろう・・・
だから、介護する人が必要なのだ。



そして、暫く会話が弾んでいたと思ったら、播磨は既にテーブルの上でグタグタに酔っ払っていた。



「親父・・酔っ払わすほど飲ますなよ!」
「まさか、これほど弱いと思ってなかったんでな」
「親父と比べるのはどうかと思うぞ・・・」
「別に美琴が看病すれば済む事じゃない」


そこで美琴の言葉が詰まる。これ以上何もいえなかった。仕方なく、播磨を自分の肩に乗せ、自分の部屋に運んで行った。
この状態ではバイクで帰るのは無理だろう。
美琴は播磨を自分のベッドに寝かせる。

「悪いな・・・すぐ、酔い冷めるからよ」
「いや、この状態は危ないから今日は泊まっていきな」
「そこまで迷惑は・・・」
「あたしが良いって言ってんだから!!」
「はい・・・・・」

播磨は美琴に押し切られて、泊まる事にした。二人は少し距離をとって離れていた。
美琴は鼓動の音が早まるのを感じた。男を自分の部屋に入れたのは花井以外では初めてだ。お気に入りのきりんのぬいぐるみを抱いて俯いている。
播磨も何だか気になっているようだ。きまずい雰囲気だけが流れていた。

「あっ・・そういえばさ」

美琴が思い出したように言った。

「今日の出来事を説明してくれないか、私も力になれるかもしれないし」

播磨は暫く、寂しそうな顔をして俯いた。しかし、すぐにもとの目に戻り上を向き、口を動かした。

「別にただ、俺は普通だぜ。告白して振られた・・それだけだ」
「え?でも塚本涙流してたぜ?」
「何!そうなのか?」
「って事は正夢じゃなかったのか・・・」
「なんだよ、その正夢って」
「えっと・・実はな」

美琴は夢の中の出来事を話した、信じてくれるか分からないけど。
播磨のサングラスを取った姿を見て、天満の顔が青ざめた事もその事で、播磨に騙したとか・・最低とか言われたことも・・・
変態さん・・とまで言ってたな・・・全部話し終わったときに播磨の顔が全身の血が失せてるのが分かる。
播磨は口を開けながらパクパクしている。

「お前・・エスパーなのか・・・・」
「え??どういう意味だ??変態さんって何だ?」
「・・・お前には言っても良いかもな・・・」

播磨は美琴に事情を説明した。
中学校の頃はけんかが好きで、女よりも喧嘩の方が楽しかった事や路地裏で一人の女の子が絡まれている時、偶然助けた女の子が天満だった事も、自分が傷だらけになっている姿を見て、天満が気絶してそれを連れて帰り・・・天満に寝ぼけて、首を掴まれ、自分の方に寄せてキス寸前で、止めたところに天満の口を押さえてて苦しくなって天満が目を覚めてしまって・・・勘違いして誤解を解こうとしたが勢いよく、天満に投げられてしまい、その事で天満に惚れてしまった。
そして、天満を追っかけて、死に物狂いで勉強をして同じ学校に入り正体がばれないように、ヒゲとサングラスとを付け髪形を変えたことから今までの事を話してくれた。
本当・・播磨って・・災難だよな・・・・美琴はため息を付いた。


「分かりゅか・・俺の気持ひが・・・・」

播磨が涙を流しながら語っている。まだ酔いが回ってるみたいだ。呂律が回っていなかった。

「だいたい、事情は分かった・・・でも良かったな、その事がバレなくて」
「ああ・・バレタラ俺はもう終わりだ・・・・」
「じゃあ・・塚本が泣いてたのって??」

疑問が一層高くなるだけだった。でも、あの夢は似ているが多少違っていたので、ホッと胸を撫で下ろした。

「謎だよな・・・・」

塚本は自分に好意を寄せてた事を気づけないで・・勝手に八雲ちゃんと付き合ってるって言ったり、沢近の事も・・その事で泣いてたんじゃないだろうか??

「播磨・・・お前告白したとき、八雲ちゃんとか沢近とか何か言ってたか?」
「お前・・やっぱりエスパーか・・・そうだ・・・お嬢や・・妹さんと付き合ってるって誤解を解くのに時間がかかったがな」
「やっぱり・・・・・」

美琴は顎に手を乗せる。私の感が正しければ、そういう事になるな・・・
今まで勘違いしてて、播磨に悪いと思ったから・・・罪悪感が芽生えたからだと私は思う。

「でも、俺は悔いはないぜ!!ちゃんと告白できたんだからな」
「お前って強いな・・・私なんか・・神津先輩に告白も出来なかったのに」
「周防も俺と同じなんだよな・・・」
「ああ・・振り向いてくれない・・・私はそこで諦めたけど、お前は違った。その子のことを追いかけてた・・私はお前が羨ましいよ」
「周防・・・・」
「まっ辛気臭い話はそこまでで、これからは仲良くやろうぜ」

周防は大きく背伸びしながら、播磨を自分の腕に絡めた。
周防の豊満な胸が再び・・・これは狙ってんのか・・
播磨は頬を赤らめて、引き剥がそうとするが、その力は意外にも強く離せなかった。

「今日は何か疲れただろ。ゆっくり休めよ」
「ああ・・・周防俺は地面で寝るから、お前がベッドを使えよ」
「え・・私は構わないけど」
「それじゃ、駄目だ。泊めてもらってるだけで有難いのに」

変なとこで義理堅い奴・・・・播磨は傷む頭を抑えながら美琴と場所を変えた。播磨はその後、すぐに鼾を欠いて眠ってしまった。
私は窓の外を眺めている。空は暗く、無数の星が見えた。
綺麗な夜空だった。すると、流れ星が流れてきた。
美琴は手を合わせて、即座に目を瞑り、お願い事をした。



播磨とこれからも楽しく出来ますように・・・と・・・・



朝になり、美琴は目を覚ました。
木の枝には小鳥が止まっている。今日も天気が良く
清清しい朝だった。美琴はまだ眠っている、播磨を起こした。

播磨は、まだ眠そうだったが、大きく欠伸を欠いてのろのろと起きだした。

「おはよう、播磨!!」
「ああ・・・・」

昨日は寝巻きにも着替えないでそのまま眠ってしまった。
播磨に至っては制服のままだった。私は播磨を部屋の外に出し制服に着替えた。髪の毛が微妙に跳ね上がってるのをブラシで解かし親父に挨拶しに行く。

「おう、美琴!!初夜はどうだった!!」

何の戸惑いも無くこういう事を言う親父って・・・・

「何もねえよ!!なあ、播磨」
「ん?ああ?」

何で疑問系なんだよ・・・・播磨は朝食にパンを一枚食べている。
私もパンに牛乳を飲んでいる。食べ終わったら、学校へ行くのに播磨のバイクの後ろに乗る事にした。
何か、こういうのって憧れてたんだよな・・・
バイクで二人登校って奴・・・・

バイクのエンジン音が鳴り響き、あっという間に学校へ付いた。
いつもと同じくらいに出発したが、いつもより早く学校へついた。
播磨はバイクを置いてくる間、私は先に教室へ向かう。
教室では、おなじみのメンバーが固まって話をしている。



「あっミコちゃんだ、おはよう〜!!」

天満がいつも元気に髪のをピコピコ動かしながら近寄ってくる。

「おはよう、美琴」
「・・・おはよう美琴さん」

晶は何か含みのある言い方だった。何だか気になる・・・
暫くして、播磨が教室にやって来た。教室に入ってきたと思ったら椅子に座りすぐに眠ってしまった。

「もうすぐ、私達も3年生ね」
「何だか短かったなあ〜」
「そういえば、烏丸君はどうしたんだ??もうすぐ転校しちゃうんだろう??」
「・・・・・・・」
「忘れてたな・・・」
「し〜〜ま〜〜〜っ〜〜た〜〜」

天満は地面に手を付いて落ち込んでいた。
烏丸の転校まで残り僅かと迫っている。

「(そういえば・・・塚本の奴・・・昨日の事が嘘みたいに明るいな・・)」
「急がなくちゃ!!」

天満は教室を見回すと、烏丸がいない事が分かり、猛スピードで教室を出て何処かへ行ってしまった。

「落ちつかねえ・・奴・・・」
「美琴さん、ちょっといいかしら?」
「どうしたの晶?」
「愛理はちょっと待ってて、二人で話したい事があるから」

晶は美琴を連れて、誰にも聞かれないような場所へ向かう。
愛理は怪しんでいる目をしている。

「っで・・何のようだ?話って?」
「単刀直入に言うわね、貴方、播磨君が好きでしょう」
「な!?」

美琴は思わぬ核心に触れたので、反論できなかった。
本当は反論したかったが、声が出なかった。このままだと認める事になってしまう。

「図星みたいね・・・・やっぱり・・・それで告白した?」
晶は反論しようとする美琴を遮って、喋り始めた。

「大丈夫よ、愛理には言ってない、貴方の態度を見てれば分かるわ」
「う・・・・・」

美琴は何も言い返せなかった。

「告白はした・・・・」
「へえ・・奥手な美琴さんが頑張ったわね」
「うるせえ!!だけど、今はあいつは私のほうを見てくれないから」
「それで諦める?」
「いや、諦めない、何度かアタックしてみるさ」
「ふふふ、それでこそ、美琴さんね、応援するわ。私の話はそれだけ」

晶は美琴の横を通り過ぎて、すたすたと歩いて行ってしまった。
晶の事だから、むやみに人に話す事はしないだろう。
私の恋はまだ始まったばかりだった。





そして・・・・・・・・何だかんだで、時は進んで行き、終業式も終わり・・・・・・・


始業式の日になった。美琴は学校で、天満達と一緒に
新しいクラスを確認しに掲示板に行った。

「皆、同じクラスになれるといいね♪」

天満はいつになく嬉しそうだった。この前、天満は烏丸に玉砕覚悟で告白をしてみたところ、オッケーをしてもらい、相思相愛となった。
そして、烏丸の転校も、卒業してからになったのだ。
その事は皆に知れ渡り、播磨は更に落ち込んだようだった。
私が何とか、励ましたけど、大丈夫だろうか??

美琴達は掲示板の方に歩いて行き掲示板を覗いた。
えっと・・私の名前は・・・・

「あった・・私は3−Aだ」
「私もだ!!烏丸君も・・・だ!イエーイ」
「おめでとう姉さん・・・」

いつの間に居たんだ八雲!!

「私と愛理は理系だから3−Dね」
「愛理ちゃんと晶ちゃんと別れちゃったよう〜」

天満のピコピコ髪はしょぼんと下を向いている。
それを美琴が慰めていた。

「クラスが違ってもいつだって会えるだろ!!」

美琴が天満の頭を撫でている。何だか、お母さんみたいだった。

「うん!そうだね!!皆、また宜しくね♪」

天満がすぐに元気を取り戻した。立ち直りの早い奴だ。
播磨が遅れてバイクへ登校した。後ろには絃子先生を乗せて。



「ったく・・何で俺がてめえを送らなきゃ行けないんだよ!!」
「まあ・・そう言うな、私も会議があるので遅刻出来ないんだよ」
「だったら早く行きやがれ!!」
「播磨君、絃子先生おはようございま〜す」
「つ・・・塚本・・・うっす!!」
「おはよう塚本君」

播磨はバイクを止めて絃子を降ろした。播磨と絃子がバイクで二人乗りしてたとこで皆が集中してみている。それもそうだ、学校の三大美人の一人が札付きの不良と
仲良く登校しているのだ。気にもなるだろう。何だか殺気も混じっているが気にしないでおこう。絃子は、騒ぎにならない説明宜しくって言いながら走っていってしまった。事情を知っている、美琴と八雲は良いとして、晶もあんまり驚いていなかった。愛理鬼のような相・・・後ろには竜の姿が映し出されている。天満も呆然としていた。しゃあねえ・・・助け舟を出すか・・・

「播磨君、今の絃子先生だよね?どういう関係なの??」
「塚本・・いや・・これはな・・・そうだ俺の従兄弟なんだ!」
「俺の絃子〜〜!」

天満と愛理の声がはもった。驚いているようだった。
これじゃ・・・ますます誤解するだろう・・・口下手な奴・・

「姉さん・・・何か違う・・・と思う」
「そうだぞ、塚本」
「え?愛人関係じゃないの??」
「愛人じゃねええええ!!」

美琴と八雲は事情を天満にも分かりやすく説明する。
天満はなるほどと頷いている。愛理は何だか
気に食わないようだ。親戚とはいえ、あんなに仲良くしてるのが悔しいみたいだ。

「な〜んだ、そうなら早く言ってよね」
「あはは、周防、妹さん、サンキュー」
「別に・・大丈夫です」
「構わないって!ところで播磨はクラス何処だ?」
「まだ・・見てない・・・」



播磨は掲示板の前へ行き、クラスを確認する。
後ろから順に見ていく、3−D,3-C,3-B・・・

「あった、3−Aだぜ!」
「播磨君私たちと一緒だね、宜しくね♪」
「宜しくな播磨!」
「お・・おう宜しくな・・・」
「ヒゲが居なくなって良かったわ」
「愛理・・・何で声が上ずってんの?」
「うっさい!!」
また・・・私達の一年間が始まった、播磨とクラスが同じになって嬉しかった。愛理は悔しそうに唇をかみ締めてたが、今は勝負だ私は遠慮しないからな。
播磨達は学校の中へ入り、それぞれの教室へ向かった。
愛理と晶と分かれ、3−Aの教室に入る。
教室の中には知らない人や、知ってる奴が半分半分だった。
花井は理系で、なぜだか、今鳥が文系に居る。麻生も菅も同じクラスだった。他にも居たが、時間がかかるので止めておこう。
まだ席は決まってないので、私は適当に真ん中のより下の窓側よりの席に座る。
天満はその前に烏丸と隣り合わせに座る。播磨はそこから離れたとこに目を合わせないように座っている。たぶん、天満と烏丸の事を見たくないんだろう。
まだ諦め切れてないみたいだ。
播磨が告白した時に天満に言われた言葉は『気持ちは凄く嬉しい・・でも・・好きな人が居るから・・ごめんね・・播磨君の事は好きだよ。だから友達で居ようね』だった。はあ・・・私は椅子を立ち上がった。



「塚本、私やっぱ二人の邪魔しては行けないから、向こう行くな!」
「え!?別にいいのに」

私が良くないの!!何だかあたしも気まずいんだよ。
私は、播磨の隣の席へ行き、ゆっくり腰掛けた。

「どうした周防?」
「あんたが一人で寂しそうだったから来たんだよ」
「ちっ・・大きなお世話だ」
「迷惑だったか??」
「別に・・・・」
「言っただろ!あんたを振り向かせるって!!」
「・・・・勝手にしろ!!」

播磨はそれから小さな声でサンキューと呟いたが美琴
にはしっかり聞こえていた。少し嬉しい気持ちになった。
新学期面白くなりそうだな!!
どうやら、担任の先生は播磨の従兄弟の刑部 絃子だった。
散々、播磨を苛めていた。

今日は始業式だったので。すぐ、教室を出て、体育館へ向かう。


「だるい・・・俺サボるわ」
「最初で最後なんだからちゃんと行こうぜ」
「んだよ・・・」

美琴は嫌がる播磨を無理やり引っ張る。播磨は引きずられていく。
体育館では校長先生の長い話を聞いて、加藤先生のわけ分からない話を聞いてたが、恐らく誰も頭に入っていないだろう。
周りを見回すと、話をしているか寝ているかのどちらかだった。
播磨は後者の方に入る。そして最後には校歌を歌い。
始業式は幕を閉じたのだった。

「やっと終わったぜ・・・・」
「本当、なんか疲れたよな」

生徒たちは教室に戻る。

「さて・・と・・・今日は始業式なのでこれで終わりにする。君たち寄り道はせずにゆっくり帰れよ。特に播磨君!!」
「何で名指しなんだよ!!」
「君が一番怪しい」
「ったく・・・何であいつが俺たちの担任だよ」

播磨がぶつぶつ呟いていた。HRが終わり生徒は、教室を出る。
播磨も自分のカバンを持ち、すぐ教室を出て行く。何だか忙しそうだった。
廊下では先に終わって待っていた。愛理と晶が立っていた。

「それじゃあ帰りましょうか」
「おう!」

美琴達はいつも通り、一緒に帰る事にする。

「向こうはどうだった??」
「花井君が既にクラスを仕切ってるのよね」
「さすが・・・」
四人は帰りながら、話していると。地面に転々と倒れてい、不良を発見する。
ほとんど、急所一撃で仕留めている。かなりの出来る奴だ。

「うわ・・・・すげえな・・・」
「たぶん、播磨君ね」

晶は冷静に言った。

「最近、播磨君は大人しくなったから、今なら勝てると思い、挑んできた残骸だと思うわ」
「うっひゃあ・・・播磨はどんだけ敵作ってるんだよ」
「播磨君は中学のときそんな悪だったの?」
「知りたい?」
「何で晶が知ってるのよ!?」
「それは私だから」

理由になっていない・・・だけど、それが、妙に説得力がある。
話によると、昔は今以上に恐ろしく強かった。
警察沙汰になる事もあったほどだ。
今はなぜだか大人しくなった方だ。天満が全てを変えたのだろう。

「じゃあ私はバイトだから」
「私はナカムラに車を呼ばせてあるから」

そう言い、二人と別れた。
美琴は家へ帰る道を歩いていると。見た事ある
後姿を発見する。背の高くガタイのいい男
殺気があふれていた。すると、さっき白め向いて
横たわっている男たちの残骸が目に浮かぶ
その殺気がまだ消えてないようだった。

「お〜い播磨〜〜」

美琴は播磨に声をかけた。
美琴は播磨に走りより、播磨の肩に手をかける。
播磨は後ろを振り向くと。美琴は思わず驚いた。

「播磨・・お前その顔どうしたんだよ!?」

播磨の顔は傷だらけで、見ている状態ではなかった。
痣が蒼くなっていて、血がにじみ出ている。

「ああ・・ちょっとヘマをしてな・・・弱くなったもんだな・・」

播磨は鼻を欠いて笑っている。何だか見ているだけで
痛々しい。

「ちょっと家へ来い!!」
「おい・・・どうしたんだよ!!」
「この傷の手当てをする」
「こんなのかすり傷だ。放っておけば治る」
「お前がよくてもあたしが良くないの」
「・・・周防・・・ちょっといいか?」
「ん?どうした?」
「何で俺にこんなに親切なんだ・・・不良の俺に・・・」

播磨は中学の頃、喧嘩しか頭に無くて。男女ともに避けていた。
けど、それでもいいと思っていた。戦う事が俺の全てだ。
誰にも縛らせはしない・・・と・・・
高校になっては・・・天満と出会って、考えが変わった。
友達も良いもんだと思う・・恋も・・・・
播磨が通ってる高校は全然、播磨のことを恐れていない。
むしろ、普通に接している。一番先に声をかけたのは
例の4人組の美琴達である。いつも、播磨に喧嘩を売れる唯一の人物・・沢近 愛理 播磨でさえ恐れさせる、なぞの女高野 晶 播磨が想いを寄せている 塚本 天満
そして・・私・・周防 美琴・・・・
播磨は今までの出来事がまき戻しのように思い出す。



周防はそんな播磨の言葉に当たり前のように答えた。

「そんなの当たり前じゃねえか!私はあんたの親友で心配だからさ。」
「・・・・・・心配」
「あんたが無茶しないか、私が見張ってやるよ」
「へへ・・・変わってるな」

播磨は口元を緩め、笑っている。美琴もそれにつられて笑う。

「さあ、怪我の手当てをしよう」
「頼む」

美琴は播磨を連れて家に向かう。播磨を自分の家へ上がらせ
タンスの上に置いてある救急箱を取る。

「ちょっと染みるからな」
「痛・・・」

美琴は播磨の顔に消毒薬を塗る。そして、かわいらしいクマの絵が描いてある
絆創膏をぺタッと貼る。

「はい!終わり」
「サンキュー・・だけど・・この絆創膏どうにかならねえのか!?」
「はは・・似合ってるぜ」
「てめえ・・わざと・・・」
「これで帰りな♪」
「ち・・・・まあ・・・アリガトな」
「なあ・・播磨・・一つだけ言っていいか?」
「ん?何だ?」
「お前は昔よりずっと強くなったよ・・・」
「何だよ急に・・・」
「強いって言うのは腕力だけじゃないと思うんだ。心も大事だと思う!その点では前より強くなったと思う」

美琴の話を播磨は真面目に聞いている。

「お前はもう、一人じゃねえしさ・・・」
「そうか・・・そうだよな・・周防アリガトな」
「ああ!」


外を見ると、先ほどまで晴れてたのに、今では雨がざあざあと降っている。
美琴は播磨に傘を貸した。播磨は別にいいって言ってたが前みたいに風邪を引いたら困るからって言うことで無理やり手渡した。
播磨は渋々了承して、傘をさし、帰っていく。
美琴はその後姿を暫く眺めていた。







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ハガヘガさん、レス有難うございます。面白いって言ってくれるだけで
嬉しいです。そういえば、感想掲示板があったんですね、今度からは出来たら、そっちの方でお願いしますね。

次回はたぶん・・最終回になるかと思われます(予想ですので)
それでは次回も宜しくお願いします。



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