Re: 君の素顔に恋をした(播磨×美琴,他) ( No.16 )
日時: 2006/12/05 00:54
名前: KEI

「懐かしいな・・・・この学校も・・・・」

一人の男が、自分の学校の母校をジッと眺めている。
すると、今までの事がつい最近の事のように思い出す。
今日は同窓会・・・・年に一度、クラスの皆で集まる日。
皆は変わってるんだろうか・・・
男は乗ってきた、バイクを近くの駐輪場に止めて、歩き出す。




「ちょっと、遅かったか?」

待ち合わせ時間は、6時・・・そして、今は7時だ。
1時間ほどの遅刻である。男はどうせ、自分が居てもたいして変わらないだろうと思い、適当な時間に家を出た。
そろそろ男の名前を挙げて置こう・・・・
播磨 拳児・・・無事、高校を卒業して、漫画家になった。
今では有名になっている。

「さてと・・・面倒くさいが行くか・・絃子がうっさいからな・・・」

彼は、高校を卒業して、一人暮らしを始めた。荷物を持って出て行く姿を眺めている、絃子は何処か寂しげだった。同窓会をやる時、最初は面倒くさくて、行きたくなかった。だが、絃子が人の家まで押しかけ銃を乱射しやがった。痛えってもんじゃない。
そして・・・今は一人じゃない・・・・俺の隣にはいつだってあいつが居る!!



「何、黄昏てるんだよ!」

バイクの後ろに座っていた、女性、周防 美琴・・・・
播磨は今、美琴と付き合っている。

「ああ・・何だか気まずくてな〜」
「何言ってんだよ!!」

美琴は播磨の腕を掴み、引っ張っていく。

「おい、腕組むなよ」
「いいじゃん、付き合ってるんだし」
「だけどよ・・何か慣れなくてな・・・」
「結婚してから1年はたつぜ」

播磨と美琴が付き合いだした経緯は・・過去にさかのぼる・・
播磨達が高校3年生の頃・・・・







「とうとうこの学校ともお別れか・・・・」

たった今、卒業式を終えて、播磨は隅から隅まで
歩いて回っている。

「ミコちゃん、愛理ちゃん、晶ちゃん・・・ずっと友達だよ」

学校の外では天満が涙を流しながら、抱き合ってる姿が会った。
その隣には烏丸の姿が会った。

「当たり前でしょ、あんたも我侭で烏丸君困らすんじゃないわよ」
「うう・・分かってるよ・・・」

そう・・・烏丸と天満は付き合っている。、これから結婚も考えてるらしかった。だから、播磨はあんまり顔を合わせたくなかった。


「まだ・・引きずってんのか・・俺も」
「あれは・・・播磨・・・・」

すると、美琴が学校の中に居る播磨に気づいたようだ。

「悪い、ちょっと外すわ、あとでな」
「そう・・絶対だよ!!メルガドに集合だよ」
「分かってるって」
「美琴・・頑張ってね・・・・」
「悔しいけどね・・・・頑張りなさいよ」

美琴は晶と愛理に励まされ、駆け出していく。学校の中へ入り、階段を上り、3階に上る。私たちの教室があった場所だ。
美琴は自分のクラスの看板をジッと見て、中へ入る。
そこには播磨が机にすがって、ボーと外を眺めていた。
サングラスは天満に振られたときから、必要ないからって事で外している。髪も短くして、立たせてある。

「ここに居たのか」

美琴が播磨の傍に近寄る。播磨もそれに気づき振り向く。

「周防・・・・」
「もう・・終わりなんだな・・・」
「ああ・・・いろんな事があった・・・」

そう・・・三度目の体育祭、打倒播磨を目指して燃えているハリー・マッケンジーとの死闘は見てて気持ちがよかった。
私も必死で応援した。播磨もクラスの皆とすっかり溶け込んでいた。
サングラス効果か?ちょっと遅い気がするが・・・
そして、体育祭終了でフォークダンスで・・・播磨と踊った。
播磨の手は、大きくて、力強かった。

「あの時・・私の胸の鼓動がいつもより高まったんだぜ」
「俺もだな・・女と踊るなんざ・・・初めてだからな!いや・・初めてじゃねえか」
「そういう意味じゃないんだけど・・・まっいいか・・」

そして、文化祭のとき・・・劇でシンレデラだっけ?
それで、王子様が播磨で シンデレラが私だったんだけど
誰かの策略だと思う。
まあ、私も満更でもなかったし。


「そして・・卒業式・・・か・・・ガラにもなく泣いちゃったな」
「周防・・今日、少し時間いいか?」
「播磨?構わないけど」
「そうか・・じゃあ屋上で待ってるぜ」

播磨は椅子から立ち上がり、教室を出た。夕日で、私たちの教室が赤く染まっている。私も暫く、記憶に残すように教室を見回した。

「私たちが勉強した場所・・・・馬鹿をやった場所・・・・そして・・播磨と知り合ったその学校・・・」

美琴は自分が座ってた机に手を置き、眺めていた。

「さてと・・・・」

美琴は播磨が待っている屋上へと向かう事にした。
そして、その後ろに隠れていながら後をつけて居る
黒い影に美琴は気づかなかった。

「ミコちゃん、何処行くのかな?」
「天満静かに・・・それはねえ・・・」
「愛理・・くやしい?」
「何のことよ!!」




美琴は屋上に行く階段の足音を立てずにゆっくり上る。
播磨は私に何の用事だろう?美琴は心臓が高鳴ってるのに気づく。大体は予想は付く・・・・屋上の扉を開けるのは怖いが、聞かなきゃ前へ進まない。

「よし・・・すう・・・・」

美琴は屋上の扉の手前で、深呼吸をして
心を落ち着かせる。
そして・・・扉のノブに手を回し
ドアを開けた。
すると、播磨が後ろを見ながら、真っ直ぐ外を向いている。
強い風が吹いている。私は、一歩一歩、近づいていく。
近づくたびに鼓動が早くなるのを感じる。
美琴が来たことに気づき、ゆっくり振り向いた。

「わざわざ来てくれてすまねえな・・・」
「別に構わないぜ、それより話って何だ?」

実はこれからの話がどういう内容か分かっている。
しかし、あえてもう一度尋ねた。

「2年の終わりの事覚えてるか?」
「ああ・・・」

忘れるわけない・・私があいつに告白した日だ。

「その事で、俺はずっと考えていた・・・天・・塚本に振られて・・・もうこの世の終わりみたいになった。そして、俺を慰めてくれた周防・・・」
「・・・・・・」

美琴は黙って話を聞いている。

「俺は塚本以外に興味を示した事は無かった・・友達としか見ていなかった」

播磨は真剣な眼差しで美琴を見つめている。あまりに真っ直ぐで真剣なので目を逸らしたくなる。

「それで俺なりに考えてみたけどよ・・・他の奴と真正面から向かってみる事にした。
それで、お前に一つ質問いいか?」
「・・・・何?」

美琴は緊張して、声が上ずっている。それを見て、播磨がわずかに笑っているのが見えた。

「俺の事今は・・どう思ってる」

播磨の意外な言葉で美琴は何を言っていいのか
分からなくなっている。

「そりゃ・・好きに決まってるじゃねえか(ボソ)」

美琴は頬を赤らめながらボソボソ呟いた。

「俺の何処がいいんだ?ただの不良なのに」
「お前の事何か、放って置けなくてな・・お前は自分が思ってるよりずっと優しい奴だって、私は分かっているから」
「そうか・・・・」

播磨は何だか吹っ切れたような顔つきになった。今まで天満の想いで縛られていた、鎖が外れていく。
何故か自由になった気分だ。

「それで、俺の答えなんだけど聞いてくれるか?」
「・・・ああ」
「俺はな・・・周防・・お前に何度も助けられたんだ・・・それで感謝しても足りねえくらいな」
「・・・・そんな事」
「お前は俺なんかじゃ釣り合わない、いい女だ お前が声かければ男は集まってくると思う」

播磨は真顔で恥ずかしい事を言う。美琴は耳まで
真っ赤にしながら俯いている。こいつは恥ずかしいって
言う言葉が無いのかもしれない。

「そんな事無い、お前よりいい男なんか居ない!!」
「・・・そんな俺でよかったら・・・付き合ってくれるか?」

今・・何て言った・・・・耳が遠くなったのか
あの播磨が・・・

「俺と付き合ってくれ周防!」

今度ははっきりと聞こえた、播磨の告白の言葉を
美琴は嬉しさのあまり、瞳から涙が流れ出た。
それを見て、播磨がおろおろしている。

「ど・・どうしたんだ・・・」
「バカ・・・嬉しいんだよ・・・喜んで・・・」

美琴は播磨に抱きつき、そして唇を交わした。
短い時間だったが、二人には長く感じる。唇には
柔らかい感触が広がっている。
ああ・・・今までで最高の出来事だな。
そして、唇を離す。播磨は突然の事に驚いている。

「ファーストキスだな・・・・」
「・・・・・・」
「おめでと〜〜〜う!!」

屋上のドアの近くで隠れていた。天満が勢いよく出てきた・・・
後ろから、馬鹿と声をかける愛理何処か膨れ面だ、晶は相変わらず、無表情だったが何だか嬉しそうだ。

「塚本・・・・・」
「あんた・・・覗いていただろ?」
「えっと・・あははは・・・」
「何か釈然としないけどおめでとうと言っておくわ」
「素直じゃねえ奴・・・」

播磨はあまりの出来事に放心状態になっている。
それもそうだ・・・いきなりキスを奪われ・・それを
人に見られてしまったのだ。

「播磨君・・・・」
「ん・・何だ!!」

やっと播磨は自分の世界へ戻ってきた。
今まで、魂が抜けてたようだ。

「美琴を泣かしたら許さないから」
「あ・・ああ!」
「じゃあ、ミコちゃん、これから卒業パーティしに行こうよ!!」
「播磨も来るか!?」
「いや・・今日は絃子に早く帰って来いって言われてな」
「そうか!」

美琴は3人と話しながら歩いていく。
途中で、その一人の愛理が立ち止まり、振り返る。

「ねえ、ヒゲ・・いや・・播磨君」
「お嬢?何だ?」
「お嬢は止めて欲しいけど・・まっいいか!後、あんたに一言言っておきたくて」
「な・・何だよ」

播磨は警戒している。いつも愛理には酷い目に合わされてるので怖がっていた。蹴りがいつ来てもいいように、構えを取っている。その仕草を見て、愛理は微笑む。

「もう、遅いけどね。私、ずっと前からあんたの事好きだったから〜!」

愛理は深呼吸して、思いっきり叫んだ。
播磨は意外な発言に目が点になっている。
そして・・再び硬直。

「ああ、すっきりした。じゃあね・・・また、会いましょう」

愛理は屋上の階段を降りていく。
播磨は今日、幸せの日なのか・・・二人の人物に告白されるし。

「・・・帰るか・・・」

播磨は絃子に卒業の報告をしに家へ歩き始めた。

「ただいま〜絃子帰ったぜ」
「おかえり拳児君、それと、さんを付けろ」

播磨は靴を脱ぎ捨て、家の中へ入り
ドア開けると、拳固と葉子がビールを飲んでいた。
既に、何本か空になっている。

「葉子さん、こんちわ。もう・・・出来上がってんじゃねえか・・・」
「これくらいじゃ酔わないわよ。拳児君、卒業おめでとう」
「君が卒業できるなんて奇跡だな」
「てめえは一言多いんだよ!!」
「まあまあ、今日は飲もう卒業祝いだ」

絃子は冷蔵庫から、たくさんのビールを持ってきて播磨に
一本手渡した。播磨はノブを開け、一気に飲み干した。

「それで、拳児君・・・今日は学校も恋も卒業したみたいだね」

絃子の何気ない一言で、飲んでいたビールを口から吐き
絃子にぶっ掛け、エアガンで打たれまくったのは言うまで無い。

「お前・・・何のことだよ?」
「確か、周防君だったか?うまく行ったんだろ」
「てめえ、覗いてたな・・・・」
「違うわよ、拳児君、盗聴器よ。貴方の制服仕掛けておいたのよ」
「なお、たち悪いじゃねえか〜〜〜!!」

絃子は笑いながら、播磨をからかっている。それを見て
葉子は微笑んでいる。




そして、1年とちょっとが過ぎ・・・・播磨はバイトでお金を稼いでいる。
美琴と買い物に付き合ったり、映画を見たりうまくやっている。
ゲームセンターではパンチングマシンで美琴と争ったりしている。
しかも、パンチングマシンでは美琴には勝てなかった事でショックを受けてたらしいが・・・播磨と美琴は19歳になった。



「さてと・・・お金も貯まったし・・・出かけるかな?」

播磨はここ半月、真面目にバイトに取り組み、お金を稼いでいたそれには事情があった。一つは家を買うお金。恐らく、バイト代だけでは足りないだろうが、もう一つは指輪を買うお金である。だから。播磨は今日、指輪を選びに
都内に出かけたのであった。


「指輪って言ってもいろいろあるしな・・・・どれが美琴に合うんだ?」

播磨はたくさん並べてある、指輪を最初から眺めていた。
自分のバイト代でも買える指輪を探している。

「お客さん、彼女にプレゼントですか?」

店員が尋ねてきたので、播磨はそうですと答えた。

「そうですね、彼氏に貰うんなら、彼女は何でもいいと思いますよ。心がこもっていれば」
「そういうもんすかね〜?」

播磨は腕を組み、首を捻って考えていたが。やがて、自分の手持ちで変える指輪を一つ選んで箱に入れてもらった。もうすぐ、美琴の20歳の誕生日である。
その時にプレゼントをするつもりだ。

「絃子、世話になったな。今までありがとな」
「とうとう、行くのか?お金はあるのか?」
「う・・・これは・・何とかする・・絃子にこれ以上迷惑かけられねえし」
「はあ・・・それでは拳児君に早いが結婚祝いのプレゼントだ」

絃子は箪笥の引き出しから、一つの封筒を取り出した。
封筒の中には何か入っているようだった。
絃子はそれを播磨に手渡す。

「!!!お金じゃねえか!!しかもこんな大金・・受け取れねえよ」
「人の好意は受け取るもんだよ拳児君」
「絃子・・・・・すまねえ・・・」
「彼女を泣かしたら改造式エアガンを1000発ぶち込む事を覚悟しとくように」
「ワカリマシタイトコサン」

そして、7月26日・・・・美琴の誕生日の日になった。
俺は、携帯電話で美琴を誘った。美琴は2文字で答える。
播磨は駅前で待ち合わせ時間より30分早く着いていた。
ポケットには箱に入っている、指輪がある。
播磨は近くの壁に寄りかかって待っていた。播磨は黒い革ジャンに下はジーンズに革靴を履いている。

「お待たせ!!」

すると、美琴が播磨の方に近づいてきた。
美琴は露出の高い豹柄模様の服に首からネックレスをつけてちょっと短めのスカートを履いている。
何故か、男たちの注目を浴びている。

「私はこういうの・・似合わないかな?」
「全然、いいと思うぜ」
「アリガト」
「おう!」
「それじゃあどこへ行く?」
「そうだな」

今の時間はまだ昼前なので、まずは近くの店で
食事をとることにした。播磨が奢るって言ったので
ここはお言葉に甘えさせてもらう事にした。
昼食の後は、カラオケに向かう。美琴は播磨の腕を組み始めた。
播磨は顔を赤くしながら、鼻を欠きながらそっぽを向いている。
私はいつもの通り、バタフライとかを歌った。
播磨もプロレスとかは詳しいのですぐに、分かったみたいだ。
播磨が以外にも歌がうまかったので驚いた。
デュエットをしたりして盛り上がっていた。

「あ〜すっきりした。」
「俺もカラオケは入るの始めてだぜ・・・」
「拳児が歌うまいなんて意外だな?」
「そうか?」

そして、その後美琴に連れられ、ボーリングやビリヤードをやった。そして、外に出た頃には、日が沈み、空は黒く染まり無数の星が出ていた。

「(そろそろだな・・・)」

播磨はポケットに入っている箱を見た。タイミングを探しているらしい。
二人は近くのレストランで食事を取る事にした。席はあんまり人に見られたくないので端っこの席に座る。播磨はワインを美琴はビールを飲んでいる。
美琴は周りを見ると、豪華そうな作りが目に入ってきた。

「おい・・拳児・・・大丈夫なのか?」
「ん?任せとけ!この前みたいなヘマはしねえ!」

播磨は一回、訳も分からず、高級なレストランに入り
予想しなかった程の高額な値段に呆然としていたところを愛理に助けてもらった事があった。だが、今はバイトでそれなりのお金はあるし大丈夫だ。
二人はいろいろ話しながら、口に食事を運んでいた。
播磨がここだと言う時に口を開いた。

「美琴・・・誕生日おめでとう!!」
「覚えてたのか?」
「当たり前だ、彼女の誕生日なんだから」
「ふふ、有難う嬉しいよ」
「それでなんだがな・・・」

播磨は少し照れながら、ポケットから一つの小さな箱を取り出し美琴の前に手渡した。

「これは・・?」
「誕生日プレゼントだ受け取ってくれ!!」
「・・空けてよいか?」
「おう」

美琴は軽く、箱を開けてみた。すると、中には指輪が入っていた事に美琴は驚きを隠せなかった。同時に目から涙もあふれてくる。
播磨はそれを見てあたふたしていた。

「ど・・どうした?まずかったか?」
「違う・・察しろよ・・嬉しいんだよ・・馬鹿」

美琴は涙を袖で拭いて、人目に構わず抱きつく。

「お・・おい!」
「これをくれたってことは・・・期待していいんだな?」
「ああ・・・美琴・・結婚してくれないか!!」

播磨は今度は真剣なまなざしで美琴を見つめる。

「私で良かったら、喜んで・・・・」

美琴は播磨の頬に軽くキスをした。
今は、人が居るので恥ずかしかったから・・・
そして、播磨の保証人である絃子には許可を貰ったので
美琴の家族に話をする事にした。しかし、美琴の父親
と母親は笑いながらあっさり許可した。播磨の性格が
父親は気に入ったみたいだ。

「播磨君、美琴を頼むよ。」
「はい!美琴さんを幸せにします」




そして・・・二人は結婚式の式場を探しに、いろいろ出かけて回った。
パンフレットなどを見て、相談している。
そして、1年後に結婚式をする事に決まる。
一応、招待状を皆に送った。天満、愛理、晶など仲のいい友達に送った。メールでも皆から激励の言葉が送られてきた。
愛理はちょっと悔しがってたけど。



結婚式当日・・・・・
美琴は花嫁衣裳を着て、播磨の前に立っている。
播磨は声が出なかった。あまりの綺麗さに驚いているようだった。

「私はこんなの似合わないよな・・・・」

美琴が軽く、微笑むと播磨がすぐ反論する。

「そんなことねえ、その・・なんだ・・似合ってるぜ・・・」
「ありがと・・・」

準備が整い、二人は並んで、教会の中へ入る。教会の中には大勢の人に見送られた。その中には親友や絃子や葉子、クラスメイトの姿もあった。
皆、拍手で迎えてくれる。

「汝・・・・貴方は・・・・・妻になりしことを誓いますか?」
「はい・・・誓います」
「汝・・・・貴方は・・・どんな困難があっても・・助け合い・・夫になることを誓いますか?」
「はい!誓います!!」
「それでは指輪の交換を」

二人は指輪を交換した。そして、向かい合った。

「それでは誓いの口付けを」

播磨は美琴の肩に手を乗せる。そして、目を瞑っている
美琴に口付けを交わした。

「また、ここに新たな夫婦が誕生しました!!」

二人は大勢の拍手で出迎えられ、教会の外へ出る。

「おめでとう、美琴」
「ミコちゃんに先を越されたな〜」
「いつか、播磨君よりいい男を見つけてやるんだから」
「拳児君、おめでとう」
「絃子先輩なんか、拳児君の事ずっと気にしてたんだから」
「してない」
「え〜本当に〜じゃああれは・・・」

チャキ
葉子の頭に、冷たいものを押し付ける。いつでも発射寸前だった。

「何か言ったかね?」
「いいえ、何にも」

全員から言葉を一言ずつ貰い。美琴は空に向かって高くブーケを放ったが、それを取ったのはなぜか愛理だった事は誰も思わないだろう。
そして、二人は晴れて夫婦になったのだった。


「懐かしいな・・・・今となってはいい思い出だな」
「ああ・・・・」

二人は同窓会の会場に向かっている。会場は俺たちの母校である矢神高校である。体育館でやるみたいだ。
二人は体育館の前まで行き、ソッと扉を開ける。
すると、既にたくさんの人が集まっている。凄く変わってて気づかなかったもの、全然変わってないもの、人それぞれだった。

「あっ、ミコちゃんと播磨君、こっちだよ!!」
「遅いわよ!!ご両人」

愛理がちょっと拗ねたように言い
播磨達は天満が手招きしているのに気づき、向かう。
その周りには晶、愛理がいつもの通りに座っている。
烏丸と花井、麻生も座っていた。
播磨達は空いている席に座る。

「悪い、久しぶりだな、塚本は相変わらず変わってないな」
「あっ・・酷いよ〜これでも身長伸びたんだから」

天満が顔を膨らませて、変わってないピコピコ髪を上下に動かしながら怒っていたが、全然怖くなかった。
むしろ可愛かった。あれから天満は烏丸と海外へ行き、海外で結婚したようだ。
晶と愛理はまだ結婚していないが晶は髪を長くしたみたいだ。いつもより女らしく見える。愛理はツインテールだった髪を今は下ろしている。
皆、綺麗になった。それだけは言える。

「それでは皆集まったことだし乾杯しようか」

花井がいつもの様に偉そうに席を立った。仕切り屋は相変わらずだった。
全員、コップを片手に持つ。

「それでは乾杯!!」
「乾杯!!」

一斉に声を揃え、コップを高く上げる。
グラスを軽く、前の人や隣の人とキンッとぶつける。
グラスの中にはビール、ワイン、ジュースなどが入っている。
皆、昔の出来事とかを思い出して、笑ったり泣いたりしていた。

「皆と久しぶりに会えて、嬉しいな!!」
「そうね、たまにはいいわね」

愛理はワインの入っているグラスを振りながら一口、口に流し込む。
晶は下戸なのでジュースを飲んでいる。天満は既に半分出来上がっている。
美琴はキョロキョロと辺りを見回すけど、播磨が居なくなっていた。

「あれ?播磨は?」
「ちょっと風に当たってくるって」
「拳児って名前で呼ばないの〜?」
「う・・うるせえな・・・いいだろ別に」

美琴は逃げるようにして、席を立つ。
外へ出ると播磨が風に当たりながら空を見上げている。
美琴は播磨に近づき、同じように空を見上げる。
空には無数の星がある。

「綺麗だな・・・・」
「ああ・・・」
「どうした?みんなと話さなくていいのか?」
「まあ、何だ・・俺らしくねえからよ・・」
「確かにな」

俺たち人間は、ちっぽけな存在だ、だから協力し合って
生きていかなくてはならない。人が助け合い生きていく
そんなものだろう。

「まあ、これから宜しく頼むよ。お父さん」
「お父さん・・ってええ!!まさか・・・」

播磨の素っ頓狂な声に美琴は俯いて、頬を赤らめながら頷く。
播磨の顔は徐々に喜びの顔に変わる。

「そうか・・・・めでたいな。俺も頑張らないとな」
「拳児・・大好きだ!!」




美琴は播磨の肩に寄りかかる。播磨は腕を回す。
心地よい風が二人を祝福しているようだ。空には流れ星が降ってくる。
私達は急いで、手を合わせてお願いをした。


これからも幸せでありますように・・・と





二人の人生は今、始まったばかりである。




        



         【完】








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

どうも・・最終回が何だか無理矢理っぽくなってしまいましたが、申し訳ありません。最後まで見てくれた皆さん有難うございました。長い小説を書いたんで難しかったです。鉛筆は大のお気に入りです。旗も携帯も好きですが。美琴って本当にいい女ですよね。友達にも恋人にもしたいタイプです。味方にしたいのは晶・・・・
八雲は姉に欲しいです。愛理は喧嘩仲間に居たら学校も楽しくなりそうです。


雑談もなってしまいましたが、機会があったらまた違う小説を書いてみようと思います。

それでは最後となりますが、今まで読んでいただき
ありがとうございました。




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