Re: 君の素顔に恋をした(播磨×美琴,他) ( No.7 )
日時: 2006/12/05 00:34
名前: KEI


 「やばい・・・明らかに、間に合わねえ・・・」

播磨は自宅で原稿が全然進んでないことに頭を抱えていた。
ペンを持つが一向に話が思い浮かばず、右往左往していた。
一人じゃ何も出来なかった。その様子を盗み聞きしていた
絃子は・・・



「面白い奴だ・・・」

ただ面白がって笑っているだけだった。
播磨が考える事はもう一つしか残されてなかった。
播磨はカバンから自分の携帯を取り出し、いじり始めた。

着信元・・塚本 八雲・・・

プルルルルル
携帯音が鳴り響く・・・
数秒立って、ガチャ

「はい、塚本ですが・・・」
「あ?妹さんか?俺だ」
「播磨さん?どうしたんです?」
「一生の頼みがあるんだが今日時間あるか??」

播磨は事情を八雲に説明した。播磨が漫画を書いていることは
八雲以外に同居している絃子しか知らない・・はずだ
高野は・・・・気にしないでおこう・・・
妹さんはすぐ、OKしてくれた。本当いい子だよな。
料理も出来るし。何処かのお嬢とは違うぜ・・

「悪かったわね!!」

「それじゃ待ってるから」

播磨は電話を切った。後は妹さんが来るのを待つだけだった。
一方、八雲は・・・・




「姉さん、ちょっと出かけてくるね」
「あれ?八雲何処行くの?」

八雲は考えた。ここで素直に答えて良いんだろうか?
もし、播磨さんの家に行くって言えば、また姉さんに
誤解され、勘違いされるんじゃないかと考えた。
そうすれば播磨さんに迷惑かけることになる。
かと言って姉さんに嘘をつくのはもっと嫌らしい。
心を決めて八雲は答えた。
すると、天満の顔がにやけて来た。

「ほうほう〜」
「何・・・姉さん」
「いやいや、八雲頑張ってね〜」
「だから・・姉さんそれは違・・・」

八雲がどれだけ誤解を解こうとしても天満は聞く耳を持たなかった。
そう・・勘違い大魔王天満は未だに、播磨と八雲が付き合ってると
勘違いしてるのだ。八雲は何を言っても無駄なので、そろそろ出かけようとしたら
天満にファイトって言われたが、あえて聞いてないことにした。





一方周防は・・・・道場で稽古を付けていた。

「周防、張り切ってるな、怪我するなよ」
「ああ、分かってるよ」
幼馴染の花井が、声をかける。
花井は道場の庭を箒で掃いていた。
几帳面と言うか、細かい性格だ

「ふう・・いい汗かいたな。花井、そろそろ帰るから」
「ああ」

美琴は汗を手でぬぐい、花井より先に家へ帰った。
そして、汗だらけの自分の体をお風呂に入って洗い流した。
「今頃・・あいつは何してんのかな?」

美琴は脳内である男のが浮かび上がった。

「って・・私は何考えてるんだろ!」

美琴は頭を思いっきり振り、妄想をかき消した。
少し、顔が赤かったのは、風呂にのぼせたからではないだろう。
美琴は風呂から出て、タオルで体を拭いた。そして髪の毛を乾かした。

「よし、ちょっと出てこようかな」

美琴は気分転換に外を散歩しに出かけようと思った。
しばらく、そこら辺を、ぶらぶら歩いていると、何か
見覚えのある人物を見かけた。




「あれは・・確か塚本の妹だよな?」

美琴の目の前には、少し微笑みながら、何処かに向かっている八雲を発見した。八雲が一人で何処かに出かけるのも珍しい。私は、興味本位についつい、後をつけてしまった。そして、辿り着いたのは、マンションだった。

「マンション??誰かの家へ行くのか??」

八雲はそのマンションに入った。
しかし、こんなとこに誰か知り合いなんか住んでたっけ?
美琴は疑問に思いながら、後を付けた。

八雲はドアの前に行き、チャイムを鳴らした。
美琴はそこに住んでいる人のネームを見た。
そこまで行くと、ストーカだぞ。



「ほっとけ!!」




刑部・・・絃子

「何だ、刑部先生か・・・八雲ちゃんは茶道部だもんな」

美琴はホッとしたのか、後ろを振り向き帰ろうとした。
てっきり、あいつの家に行くんだと思ってた。
最近、仲のいいあいつと・・

だが、美琴は予想は当たっていた。

「悪いな、妹さん」
「いえ・・・私が好きでやってるんですから」
「まあここじゃなんだから、入ってくれよ。弦子、今居ないから」
「はい、お邪魔します」

ここって・・刑部先生の家だよな・・何で播磨が居るんだ??
そういえば・・・前に播磨が言ってたな・・・従兄弟同士だと
まだか・・・一緒に住んでいるなんて思いもしなかった。
美琴の頭の中は混乱していた。しかも好きでやってる・・そこまで進展を・・
えっと・・こんな時私はどうしたら・・・

「逃げるか、明日何気なく聞き出せばいいか」

美琴はそう、自分で言い聞かせ、その場を逃げるように
立ち去った。

「あれ??」
「どうした?妹さん?」
「さっき、あそこに人影が?」
「気のせいじゃないか?」
「そう・・ですね」



美琴はあれから、家へ帰ってきたが気になって
何も集中できなかった。食事も喉が通らなかった。
あれ・・・何で胸が痛むんだ・・・
別に好きって言うわけじゃないのに・・・
そりゃあ・・確かにサングラスを取ったらかっこいいけどさ・・・
少し、他の男と違うものを感じるけどさ・・・あいつには天満一筋だし、認めたは無いだろうが沢近も想いを寄せているだろう。
高野も何気なく、播磨のアドレスを知っていたし。
私もこの前播磨に教えてもらった。
別に深い意味は無いぞ・・・・
何か困った事があったときの為に・・・
少し、期待してるあたしは何なんだろう。

美琴はずっとそんな事を考えている内に、すっかり外は
暗くなっていた。

「ま・・明日も学校だし・・寝るか」

美琴はベッドの中で深い眠りに付いた。
そして、翌日・・・・私は眩しい日差しと、小鳥の鳴き声で目を覚ました。
外は、雲ひとつ無い、綺麗な空だった。って・・暢気にしている場合じゃない。
急いで支度しないと遅刻しちまう。
美琴は大雑把に服を抜き出し、制服に着替えた。
本当、私って・・男らしいよな・・・時々、そんな風に感じる。
女だと思うのは・・・サラサラの髪に・・胸・・・・だけか

「・・・・って私は何を考えてるんだ」

美琴はカバンを持って急いで家を出た。
猛スピードで坂を駆け抜けていった。私の学校に行くには凄い、急な上り坂を通らなければならない。
しかし、美琴は体力には自信あったので、修行の為に
上る事にする。走っているとお、播磨がバイクで私と並んだ。

「おっす播磨!!」
「周防じゃねえか?朝から大変だな」
「いいよな〜バイクは楽で」
「なんなら乗ってくか?」
「いや、今日は遠慮しとく」
「そうか、じゃあな!」

播磨はそう言うと、美琴を追い越して学校に
向かっていった。あいつ、不良の癖に遅刻は絶対にしないんだよな。
そういうとこは尊敬する。授業中寝るか、妄想しているだけなのに・・
そう、あいつは授業中天満の事を眺めている。当人は全然気づいてないが
そのせいで、成績は最低ランク(天満と並んで2トップ)と噂される。
美琴は教室にの中に入り、自分の席に座った。




「ミコちんのDおはよう〜〜!!」
「何処に挨拶してるんだお前は!!」

突っ込んできた今鳥に・・・
バキッ!!美琴のアッパー炸裂
今鳥は叫び声を上げながらもやりきった顔で
今鳥は天井に思いっきり激突した。その後・・一条に
落とされていたみたいだが・・あの癖何とかならねえのか?

「教室で最初に話したのがおまえかよ」

美琴は溜息を付いた。

「ミコちゃんモテルね〜」

いつの間にか後ろには天満が立っていた。

「珍しいな、塚本が遅刻しないで来るなんて」
「あ〜酷いよ、私だってやれば出来るんだから!!」
「どうせ、八雲に起こしてもらったんでしょ」
「う・・・」

すると、愛理が後ろから、あくびをしながらやって来た。綺麗な金髪の髪が揺れている。
愛理がこっちへやって来ると、男子全員がこっちを向く
女の私から見てもかわいいと思う。



「酷いよ、愛理ちゃん・・・」

天満が口を膨らませて言った。

「そういえば、そろそろ期末試験ね」
「晶、嫌な事思い出させないでよ・・・」
「やべえ・・全然勉強してない・・・」
「美琴は花井君って言う優秀な家庭教師が居るから良いわよね〜」
「だ・・誰が・・・理系は高野が居るし、古典とかはあたしの方がいいんだよ!!」
「試験・・・・」

天満はすっかり目の前が真っ白になっていた。その表情から恐らく、勉強して無いだろう。もちろん、他の皆もやってないだろうけどいざとなれば、勉強する事が出来る。だが、天満は一人じゃと勉強に集中できない。今のままじゃ恐らく、留年決定だ。
留年と言えば、もう一人心当たりがある。
美琴はその一人の男の場所に向かった。

「なあ、播磨?」
「ん?周防かどうした?」
「勉強してるか??」
「・・・・・・」

播磨は黙ったまま石化してしまった。
恐らく忘れていたんだろう。まったく天満と言いこいつと言い似たもの同士だな。見てて面白く思うときもある。

「このままじゃ、お前留年だぞ!」
「留年・・・」



この言葉に播磨が反応した。再び、妄想に入ってしまった。拳を握り締め何やら考え込んでいる。

「留年したら・・・(天満ちゃんと一緒になれねえじゃねえか!!)」

カッコの中は、播磨の心の囁きです。いや、天満も危ないと思う天満と播磨の学力は五十歩百歩だが、わずかに天満が上である。
何か、低レベルな争いは見てて悲しくなる。
もうすぐ、2年の最後のテストが始まる。
私たちにとっては最後の難関がやってくるのだ。

「そうだ、播磨お前も一緒に勉強しないか!!」
「え!?」

美琴の軽い発言に、愛理が驚いて立ち上がった。

「ちょっと、美琴何でこの馬鹿と勉強しなきゃ行けないのよ!!」
「馬鹿って何だよ!!」
「あら?愛理はその方が嬉しいんじゃないか?」

美琴の一言に
愛理は頬を赤らめて反論する。

「何で私は!!」
「・・・・・愛理の負けね」
「う・・・・」
「冗談じゃねえ、俺は勉強しねえぞ!!」

嫌がる播磨に美琴は追い討ちをかけた

「昨日、何してたのかな〜」
「何・・って・・・」
「刑部先生の家が播磨が住んでいるとこだったんだな〜」
「てめえ・・いつから見てた・・・」
「八雲ちゃんと何をしてたのかな〜」
「わ〜〜!!誰にも言わないでくれ」
「じゃあ、勉強するんだな?」

「う・・それは・・・」
「塚本も来るぜ」
「喜んで勉強しましょう、美琴さん!」

播磨は急に態度を変え、快く承諾した。
立ち直り早い奴だ・・・後で八雲ちゃんと何をしてたかを聞くとして播磨達は、学校の図書室で固まって勉強していた。
そろぞれ得意な科目を二人に教える事になった、
愛理は英語 美琴は国語 晶は数学を主に担当として
それ以外は全員で勉強する事にした。

「何でテストってあるんだろうな」
「うん、それ私も思ったよ」
「おい、お馬鹿二人喋ってないでやれ!」



美琴が二人の頭を軽く叩く。

「はあ・・・何で私がこんな馬鹿を・・・」
「何だと!!」
「仕方ないわ、乗りかかった船だし・・ちゃんと聞きなさいよ」
「ち・・偉そうに・・・」
「愛理・・何だか嬉しそうね」
「晶、一言多い!!」

先生の教え方が良かったのか、思ったより勉強が
捗った。愛理も満更でもなくちゃんと教えている。
当然、私もちゃんとやっている。播磨に教えるのは
初めてだが、何だか悪くないと思った。

「はあ・・・何だか疲れたわ」

愛理は机の上に倒れていた。私もさすがに疲れた。
天満は、もう頭の中がいっぱいらしくて、目が回っていた。
播磨は既に魂が抜けていた。普段、勉強しない奴が
やるとこうなるんだな。

「さて、これからどうする??」

期末試験まであと3日、まだ試験範囲は終わってない。

「じゃあ、ミコちゃんの家で勉強会しよう♪」
「ちょっと待てい!!何で私の家なんだ??」
「ん〜何となくかな?」
「まっいいんじゃないかしら?」
「あきらめなさ意味琴」
「人事だと思いやがって・・・」

美琴はどうやら観念したようだ。

「じゃ・・俺はここでおさらばだな」

播磨はやっと地獄から開放される、喜びと疲労で首を捻りながら
立ち上がった。大きく背伸びしてこの場を離れようとした。
それを見て、私は何だかいたずらをしてみたくなった。

「あれ〜播磨は一緒に行かないのか?お泊り勉強会?」

美琴がニヤニヤしながら言ったら、播磨の顔が赤く染まってるのに
気が付いた。こいつ、本当分かりやすい奴だな・・・

「馬鹿言ってんな!!俺は男だ!!」

サングラスをかけていて、表情は良く分からないが、恐らくは
焦っているだろう。

「そうよ、美琴!空気が悪くなるわ」
「お嬢・・それどういう意味だ!!!」
「っでどうなんだ!!」
「後は絃子に教えてもらうからいい!!」

そう言って、そそくさと逃げて言った。普通、こんな
周りが美人だらけのとこに行くのに断る、男は
居ないはずだ。だが播磨は意外と硬派みたいだ。
だから、あいつと話して楽しいんだよ。

「さて・・・私達も帰ろうっか!」


私は机の上に置いてある勉強道具をカバンの中に入れ、手に持ち椅子から立ち上がった。そして、一行はほとんど強制的に美琴の家に向かった。



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