Re: 君の素顔に恋をした(播磨×美琴,他) ( No.6 )
日時: 2006/12/05 00:31
名前: KEI



美琴が精一杯走っても、遅刻は免れそうに無かった。
これで播磨と一緒に教室に入ったら、皆に何を言われるか分からない。
恐らく、沢近、高野、天満に質問攻めにあうだろう。
二人が学校に着いたときには、チャイムが鳴り終わっていた。
授業が始まってしまったのだった。




「なあ、播磨どうすんだ??」
「周防、お前は行ってこいよ!俺はサボるから」
「ん〜」


確かに今、一緒に教室に入ってきたら怪しまれるので・・

「じゃあ、2時間目からちゃんと来るんだぜ!!」
「はいはい・・・」

そして、播磨は真っ直ぐ、お気に入りの屋上へ向かい
美琴は教室に向かった。美琴は遅刻する事があんまり無いので
ちょっと恥ずかしくもあった。美琴はドアに手をかけて
教室のドアを開いた。
ガラガラ
生徒たちの視線がこっちに集中する。美琴は恐る恐る中へ入った。

「周防が遅刻なんて珍しいな」

担任の谷が言う、

「いや・・・ちょっと寝坊して・・・」

その一言で教室がざわめいた。
美琴は俯きながら、自分の席へ向かっていった。
その行動に高野は何やら考え事をしている。
高野は感が鋭く、騙す事もうまくて、ポーカーフェイス
で憎めない存在である。
一時間目の授業が終わりいつも通り、4人
固まって、話をしていた。

「美琴、今日はいつに無くそわそわしてるわね」
「別に・・普通だろ!」
「そう言えば、今日播磨君来てないわね」
「どうせヒゲの事だからサボりでしょ!!」
「あ〜播磨なら、屋上に居る・・・あ・・・」
「美琴、良く知ってるわね」

晶が目を輝かせながら、迫っていた。天満は未だに
どういう状況に置かれているか理解できてないようだ。
愛理は何かどういうこと!?って美琴に近寄る。
非常にヤバイ状況だ・・・どうやら私は
晶の誘導尋問にはめられたらしい。

「それは、播磨も私と一緒に遅刻してて、偶然会ってさ〜ほらっ!一緒に行くと勘違いされるだろ・・だから、播磨は屋上でサボるって言い出してさ」

その説明で納得していたのは天満一人で愛理と晶はまだ納得
していないようだった。
美琴が質問攻めに合っていると、何も知らずに播磨が、教室のドアを開けて
入ってきた。

「ふんふんふん♪」

暢気に鼻歌を歌いながら、自分の席へ向かい、すぐ居眠りを
始めてしまった。ったく、人の気も知らねえで、いい気なもんだな
美琴は心の中で呟いた。

「ひげ・・・学校来て早々、昼寝とはいい度胸ね・・・」
「そのマイペースに愛理は引かれたと・・・」
「違うって言ってんでしょ!!」

愛理が顔を真っ赤にして怒鳴った。
晶は人のからかうのが得意なようだ。

「そうそう、今日メルガド行こうよ!!美琴ちゃんの恋話聞きたいし」
「だから、あたしはそんなの無いってば!!」
「分かんないわよ、案外身近なとこにあったりするかも」

晶は何やら不気味に微笑んだ、あいつは何者なんだ・・・
そして、昼休み・・・・私は遅刻しそうだったので
昼食を持ってくるのを忘れたのであった。美琴は頭を欠きながら、悩んでいた

「あっちゃ〜・・・どうするかな?」
「美琴ちゃん、弁当持ってきてないの??」

天満・・・君は一体何を聞いてたんだ・・・
私は遅れてきたんだぞ、お弁当なんか持ってきてない
ちゅうの。そう言いたい美琴だった。
播磨もたぶん、同じであろう。
今は恐らく、屋上で昼寝でもしてるだろう。
あれだけ寝ておいて、良く寝れるなとある意味
感心してしまう。

「私たちの分けてあげようか??」
「いいよ、今日はあんまりお腹減ってないし・・そこら辺でも散歩してくるよ」

美琴は席を立ち、教室を出た。教室を出たと言っても散歩するとこなんか
何処にも無い、時間潰せる場所は・・・あそこしか無いんだけど
恐らく、あいつが居る、誤解を招くのは嫌だけど、仕方ない・・・
美琴は覚悟を決めて屋上へ行く事にした。

「へえ〜屋上に来た事はあんまり無いけど、結構いいとこだな」

涼しい風が美琴の髪を靡かせた。外はいろんな景色が見渡せていた。
美琴は辺りをキョロキョロと見回した。
一瞬、あいつが居ないんじゃないかと、期待をしながら・・・
そして、案の定、その男は屋上で居眠りをしていたのだった。

「播磨・・だよな・・・?」

播磨はサングラスを外して、気持ちよさそうに寝ていた。
寝ている姿も結構、様になっていた。
美琴は播磨の近くまで来て、寝ている姿を覗き込んだ。

「こいつ、寝相いいんだな・・・」

播磨は鼾や歯軋りとかしそうな奴なのに、そんな素振りは全然
見せなかった。私た・・・毎晩・・・親に寝言を聞かれて
からかわれてるって言うのに・・・・
少しいあたずらして見たくなった美琴はためしに鼻をつまんで
口をふさいで、息を止めてみた。果たしてどのくらい我慢できるか、

すると・・・播磨の顔が徐々に青くなっていった。
播磨の体はもがく様に動き出した。
そろそろかな・・・美琴は押さえていた鼻と口をそっと離す。

「ぜえぜえ・・・何だ・・急に息が・・・死ぬかと思った」

播磨は勢い良く起き上がり、息を切らしている。

「起きたか??」
「す・・・周防・・・お前の仕業か!!」
「ははは、悪い悪い何だか、反応を見たくてさ」
「悪趣味だ・・・下手すれば・・三途の川も渡るところだったぜ・・」

どうやら、死ぬ一歩手前だったようだ。

「目覚めただろ?」
「お前・・悪いと思ってないだろ・・・」
「いや、思ってるさ」

美琴はニヤニヤしながら答えた。これは絶対してないな・・・
播磨は溜息を付いた。

「ところで、何でお前はここに居るんだ?いつもだったら、天・・・塚本とお嬢達とあと・・・高井だったけ・・飯食ってるはずじゃねえのか??」
「それだけど・・・今日遅刻したからさ〜弁当持ってきてないんだよね〜それと高野だから」

美琴は頭を欠きながら、苦笑いをした。

「ふ〜ん・・・ってあれ・・俺のサングラスが無いぞ??」

播磨は必死でサングラスを探したが見つからなかった。
それもそうだ、美琴がすぐにサングラスを隠したのだ。
播磨がサングラス無しだったらどういう反応になるのか興味があるからだ・

「どっかに無くしたんじゃない??」
「そんなはずは・・・(やばい・・このままじゃ天満ちゃんに顔を合わせられないぞ)」

播磨が辺りを見回すと、屋上の入り口のドアにわずかなピコピコ髪が見えてるのに
気が付いた。

「・・・・・周防・・付けられてるぞ・・・」
「あれ・・天満だよな・・・」

二人はその方向へ歩いていき、ドアを開けた。

「わあ!」
「天満なにしてんだ??」
「いや・・あはは・・・」
「と・・・他の奴ら・・・」
「何よ、悪い」
「何かいいネタになるかと」

天満の後ろには晶と愛理が隠れていた。
相変わらず強気の愛理と何を考えてるか分からない晶
「ふ〜ん・・・美琴に彼氏居たんだ」

愛理がその男をじろじろ見た。
もしかして、播磨だと気づいていないようだ。
晶は無表情ながらも笑っている。天満も首を捻っていた。

「なかなかいい男じゃない」
「だから、彼氏じゃないって!!」

美琴が必死に抵抗するが、それも空しく聞き入れてくれなかった。
正直に話すか・・・美琴は天満達に説明をした。すると、
学校中が驚愕な事実に大きな叫び声を挙げた。

「うそ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
「本当に、播磨君なの??」
「悪かったな・・・変な顔で・・・」
「違うわよ、思ったよりまともだって言ってんのよ」
「愛理・・素直じゃないわよ・・」
「晶・・うるさいわよ!!」

愛理はほんの少し頬を赤らめた。

「へえ〜播磨君の素顔初めて見たな〜」

天満がまじまじと播磨の顔を見つめてくる。
播磨の心臓の音が大きくなる。緊張と不安
でいっぱいだった。やばい・・・思い出すのも時間の
問題かも・・・・播磨の額から脂汗が落ちてくる。
すると、天満が首を捻りながら呟いた。

「何か・・・・播磨君・・何か何処かで??」
「(ま・・まずい・・)じゃ・・じゃあ俺は教室に戻るか」

播磨は猛ダッシュで階段を下りて、その場を逃げ出した。
もう少しで、気づかれたかもしれない。気づかれた後を考えると
恐ろしい・・・もしかしたら、嫌われる・・いや・・もしかしなくても
嫌われるだろう・・・・
播磨は先に教室に戻って、席へ座った。何やら、クラスの皆が
播磨に視線を集中していた。

「ん??あんだ・・・俺の顔に何かついてるか??」

播磨が手で顔をあちこち触ると、ある事に気が付いた。
しまった・・サングラスかけるの忘れてた・・・
播磨は心の中でムンクの叫びをしていた。
すると、その内一人の眼鏡をかけた委員長の
花井がこっちへ向かってきた。播磨は咄嗟に構えた。

「申し訳無いが、誰っけ??見覚えが無いんだが?」
「(こいつ・・俺だと分からねえのか!!)」

皆、恐らくサングラスと髪型の印象が強くて、覚えてないのだろう。

「播磨・・・」
「え??何だい??」
「播磨だよ!!文句あるか」
「播磨・・・」

花井は一瞬石化した。しかしすぐ復活し
今の状況を把握した。

「播磨だと!!」

花井の叫びに、教室全体がざわめいた。
誰も播磨だとは気づかなかったらしい。

「ちっ・・だからサングラスを外したくないんdなよ」

播磨は舌打ちしながら、そっぽを向いた。

「播磨君戻ってるみたいね」

「皆の視線が彼に注目してるわね」


4人組が戻ってきたようだ。

「ちょっとやりすぎたかな・・・」

美琴がボソッと呟いた。

「それにしても、播磨君かっこいいわね、愛理」
「何で私に聞くのよ!!」
「そう・・なら私が貰っちゃうけどいいわね?」

晶の大胆発言に愛理と美琴が思わず声を上げる。

「冗談よね??」
「高野の事だからな・・・」
「あら?冗談にしておいていいわよ」
「何か冗談に聞こないな・・・」
「同感ね・・・」

晶は不気味な笑みを浮かべている。
さすが、敵にしたくない女子ナンバー1である。
ちなみに恋人にしたいナンバー1は愛理で友達にしたいナンバー1は美琴である。
まあ・・関係ないのだが・・・・
播磨の話題は一年の教室まで響き渡った。

一年の教室では・・・・

「ねえねえ、八雲?」
「何・・サラ?」

一年では学校のアイドルであり、あの塚本天満の妹
塚本八雲と金髪のショートカットの美少女
サラ・アディエマスが話をしていた。

「2-C組にかっこいい男の人が居るんだって、ちょっと見に行こうよ」
「私は・・別に・・男の人苦手だから・・・」
「も〜八雲・・・男性恐怖症を克服しなきゃ・・・播磨先輩に会えるかもよ」
「私と・・播磨さんは・・そんな関係じゃ・・・」
「いいからいいから!!さあ、行くよ!!」
「ちょ・・サラ・・・」

サラは八雲の手を引っ張って、教室を出た。
2年の教室に視点がを移動すると・・・

「ねえ・・何よこれ・・・」

愛理が廊下の方を見た。すると、外には興味本位で覗きに来た
男子組みと、以外にも女性も多く居た。しかもいつものように
悲鳴とかじゃなく、黄色い声を上げているのだ。サングラスを
取っただけで、そこまで変わるものなのか??
愛理は何だか面白くないような顔をしていた。

「何で、あんなヒゲがモテル訳??」
「愛理・・・焼きもち?」
「ち・・違うわよ!!誰があんなヒゲ」
「まっ・・分からんでもないけどな・・」

「何で・・・次から次へと人が集まって来るんだよ・・・」

播磨の怒りが限界へと達していた。早く、サングラスを見つけなきゃ
やばい事になりそうな気がしたのだ。

「ほらほら、八雲?あの人だよ」

サラ達もやって来て、ふてくされている、男を指さした。

「あれ?あの人見覚えが・・・・」

八雲は暫く考えていた・・・

「サラ・・たぶんあれ・・播磨さんだと思う・・・」
「嘘・・播磨先輩なの!?言われてみれば・・何かそんな感じも・・・」
「サングラスとった姿・・私も始めてだから、良く分からないけど・・・」
「それにしても、さすがだね愛の力は強いね〜」
「/////そんなんじゃないって・・・」

サラのからかいに八雲の顔が赤くなる。

「そろそろ戻ろうかサラ??」
「え?いいの先輩と話さなくて」
「うん・・話せる雰囲気じゃないから」
「そう」

八雲達は自分の教室へ戻っていった。
それと同時に、播磨の怒りも限界に達していた。
播磨は机をバンッと叩いて、立ち上がった。

「彼・・遂に切れたわね」
「え・・・晶冷静に言わないでよ。殴り合いとかに・・」
「それはならないだろ、相手は女も居るんだしさ」

播磨はずかずかと、廊下の方へ向かう。

「あのよ・・気が散るんで、帰ってくれないか??」

播磨はあくまで優しく言った。いきなりけんか腰になったら
印象が悪くなって、天満に嫌われると思ったからだ。
これで、帰ってくれるかと思ったら、逆に女子の大群
にとりこ囲まれてたのだった。

「播磨先輩って彼女居ますか??」
「播磨君ってかっこいいね」
「へ!?」

女子に質問攻めに会っていた。
それに耐えかねた、愛理、ついでに美琴は
「何、鼻の下伸ばしてるのよ・・・」
「いや、別に伸ばしてないと思う」
「注意しなくちゃ」
「しゃあねえ・・助けてやっか・・・」

夜叉姫愛理&美琴出陣!!

「ちょっと、誰が夜叉姫よ!!」
「誰に怒ってるんだ沢近?」
「空気を読めない馬鹿な人に」

愛理達は播磨の所に向かった。

「だけど、どうやって、引き離すのよ??」
「あたしにいい考えがある。お〜い拳児〜」

美琴の何気ない一言に、一同が皆振り向いた。
愛理は呆然と口をあけたまま閉じなかった。
一方の播磨は固まっていた。

「・・・周防・・・」
「悪いね、私らは付き合ってるんだ」

そう言って、美琴は播磨の腕を組む
美琴のボリュームある胸の感触が腕に響く
播磨は赤くなって、再び石化した。
そのおかげで、廊下に居る女子たちは自分たちの教室へ
帰っていった。被害も多少あったみたいだが
花井なんか、ショックで灰になっていた。

「あの・・・その・・・腕・・・」

播磨が口をもごもごして、言って、美琴は
すぐに、腕を放した。

「美琴あんた・・・」

「沢近、冗談だよ、皆を帰らせる演技だって!」

果たして、そうなのだろうか・・私は実際
本当でもいいと思った・・・・

「そ・・そうよね・・美琴に限って・・有得ないわよね・・・と言うか釣り合わないわ」
「お嬢・それどういう意味だ!」
「果たして本当に冗談かしら」
「高野・・・いつから居たんだ?」
「さっきから居たわよ」

いつの間にか背後には晶が当然のように立っていた。
こいつは忍者か何かか?

「そろそろ、次の授業が始まるわよ」
「そうね、ちょっとヒゲいつまで固まってるのよ!!」
「そうだぜ、授業始まるぜ」
「・・・・・は・・・俺は一体何をしてたんだ・・」
「記憶がとんだ見たいね・・・よほど意外な事だったんでしょうね」

晶が微かに笑みを浮かべた。興味深い内容だわ
そう呟いて、自分の席へ付いた。それに続いて
皆、席へ付いて午後の授業が始まった。

午後の授業が終わり、放課後になり、生徒たちは
教室から出て行った。播磨は授業中ずっと寝ていた。
放課後になっても起きなかった。

「ヒゲ・・まだ寝てるの??」
「愛理起こしてあげたら??」
「あ・・晶何言ってんのよ」
「しょうがねえな・・・」

美琴は頭を欠きながら、播磨の机の前に行った。
そして、そっと持っていた、サングラスをかけてやった。
「おい、播磨もう、放課後だぞ!」
「ん・・・・周防か?」
「本当どうしようもないわね」
「うるせえな!!」

いつも通り愛理と口論をしていた。

「じゃあ、あたしらは帰るから」
「ああ・・・ってサングラスが・・・」
「悪い・・・いざと言うときに返せ無くてな」
「良かったぜ・・・」

播磨はホッとしたように安堵の声を上げた。

「じゃあな、播磨」
「ん?ああ・・今までありがとな」
「お礼は良いって・・何か照れくさいから」
「何してんのよ?美琴早く行くわよ」
「ああ、悪い」

美琴はいつもの3人組と一緒に帰った。
播磨は椅子から立ち上がり、欠伸をしながら
教室を出た。暫くサボってた分、原稿が
遅れていたので、播磨は溜息を付いてのたのたと歩き始めた。




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