Re: 君の素顔に恋をした(播磨×美琴,他) ( No.1 )
日時: 2006/08/02 00:31
名前: KEI


 「今日は何にしようかな」

 美琴は今晩の料理の事について考えていた。

 「そう言えば、播磨はカレーが好きだったよな」

 美琴はかごの中にカレーの材料を入れた。体格の大きい播磨はたくさん食べそうなので、いつもの倍を買うことにした。少しでも播磨に喜んで食べて欲しいので、少し張り切っている。こんなとこを愛理に見られたら何て言おう。そう考えているときに・・・

「あっ、美琴じゃない」

金髪のおさげ頭の女の子、沢近 愛理、
愛理は美琴のとこに駆け寄った。

「げっ・・沢近・・」

「なによ、そのげっって言うのは!何か引っかかるわね」

愛理はムスッとしながら話しかける。美琴は苦笑いしながら、鼻の頭を欠いた。
どうやってこの場を凌ごうか考えてる途中である。

「どうしたの??今日はやけにたくさん買ってるわね」

愛理は美琴の買い物籠を見て、疑問に答えた。
それもそうだ、美琴は自分より体格が大きいし、格闘技もやっている、だけど、そこまで食べる方ではない。
何て誤魔化すか・・・・

「美琴・・・・」

愛理が真剣な顔で言ったので、少し緊張した。
もしかして、ばれたんじゃないかと。

「太るわよ!!」

「大きなお世話だ!!じゃあな」

美琴は愛理の言葉を口実にこの場を抜け出した。最後に言った言葉はちょっと気になるが
バレルよりマシだった。
美琴は急いで、自分の家に向かった。播磨はまだ寝てるのかな〜と思いながら。
美琴は家の前で、ポケットから鍵を取り出し、ドアを空けた。心底、あの播磨の事だから、迷惑かけたくないから黙って居なくなってるのかと思った。だけど播磨の靴がある事から、居ることが分かり、ホッと胸を撫で下ろした。

「さて・・と・・・」

美琴は台所に荷物を置いて、自分の部屋に向かった。ドアを開けると、窓の外を眺めている。播磨の姿があった。今の播磨の姿はオールバックのサングラス姿じゃなく、雨で前髪が降りて、サングラスも無い状態だった。長い髪がかぜに靡かれた。その姿に思わず、
ドキッとした。

「気が付いたみたいだな」

美琴がコートを脱いで、播磨に話しかけた。

「周防・・・何で俺はこんなとこに居るんだ??」
「お前は、熱で地面に倒れてたんだ、まだ熱も引いてないんだから無理すんなよ」
「お前が助けてくれたのか??」
「何か放って置けなくてな」

周防が笑いながら、言った。真っ直ぐ播磨の顔が見れなかった。
いつもはサングラスをかけていたから、大丈夫だったが、
今度はサングラスをかけていない。

「何で俺を助けたんだ??不良の俺を」

播磨の質問に美琴は首を捻った。
何でこんな事聞くんだろう。そんな当たり前の事を・・・播磨はそんな悪い奴じゃない、むしろ優しい方だ、困ってる人を見たら
助けてるし、話すのも楽しい。

「そうだな、友達だからって言うのは駄目かな・・・?」
「友達・・か・・・安易な答えだな」
「わ・・悪いかよ!それしか答えないじゃんか」
「おめえは本当にお人好しだよな・・・お節介とも言うがな」
「それがあたしの性分なんだ」
「嫌いじゃないぜ、そういう奴」

播磨は今日、初めて笑顔を見せた。その笑顔が
輝いて見えた。播磨は塚本以外のことで笑顔をするのは
殆ど皆無に近かった。
それをあたしが見たことで少し、嬉しくなった。
もっとその笑顔を見てみたかった。

「播磨腹減ってないか??」

「・・・そう言えば、朝から何も食ってないな・・・」

播磨の腹はぐぅ〜と音が鳴った、
その音に美琴が笑い出した。

「ははっ待ってろ、すぐ料理の支度するから」

「悪いな、本当は黙って出て行こうと思ったんだけど、礼を言わないで行くのは悪いからな」

美琴の予想通りだった。播磨は黙って出ていくつもりだったようだ。
辺りはすっかり真っ暗になっている。

「ゆっくりして行けよ」

美琴がそう言うと台所に向かった。最初は友達だとしか思ってなかったが、
今は少し違う感情が芽生え始めている。
これは何だろう・・・あいつが好きな人は知っている。
そう・・うちのクラスの塚本 天満・・・本人は誰も
気づいていないと思ってるらしいが、知っている人も結構居る。
その事を播磨に言ったらどう反応をするか、見てみたかった。
天満は天満で播磨が好意を寄せていることなんか気づいていなかった。
お互いすれ違った道を歩んでいる。

「そうか・・って私は何を考えてるんだ!!」

美琴は顔を赤らめながら、料理を作っていた。
私は自慢じゃないが、料理には結構自身がある。
播磨においしいって言わせて見たい・・・
一瞬だけど、私に振り向かせてみたいと思った。

「ん・・・そう言えば、絃子に電話しないと」

播磨は教師の刑部 絃子の家に居候している。
二人は従兄弟の関係だが、恐らく知っている人は
居ない。播磨は携帯電話を取り出して家へ電話をかけた。

プルルルルルル・・・
ガチャ

「はい、刑部です」

「あ、絃子か」
「拳児君か、何かあったのかい?」
「それが・・・」

播磨は絃子に事情を説明した。
絃子は意外と感が鋭い、嘘をついてもたぶんバレルだろう。

「ふぅ〜ん、君が風邪で倒れているところを周防君に助けてもらい、今、彼女の家に居るってことだね」
「まあ、手短に言えばそうだな」
「どうせだったら、このまま泊まればどうだい」
「ば・・何言ってんだお前は!!」

絃子の教師とは思えん発言に、大きな声を上げた。
電話越しなので、表情は分からないが、恐らく
笑っているのだろう。

「命拾いしたな、もし報告しなかったら、エアガン100発ぶち込んでたとこだ」
「アノイトコサン・・・ソンナニウタレタラシンジャイマスケド」
「はっはっは君なら大丈夫だ、何があったか聞かせてくれよ!」
「お前には教えねえよ!!」

そう言い播磨は電源を切った。一応絃子には言っておいたので、大丈夫だろう。
播磨は何で、あれが従兄弟なのかと疑問に思った。

「播磨、誰と話してたんだ??大きい声が聞こえてたけど」
「ああ、お前も良く知っている、絃子だよ」
「絃子って・刑部先生の事か??」

美琴は播磨は何で、刑部先生を下の名前で呼んでいるのか、気になった。
何か関係があるのか??禁断の教師と生徒愛・・・
って・・・何を考えてるんだ私は・・・

「なあ、刑部先生と播磨はどんな関係なんだ??」
「ん?ああ、隠してもしょうがねえから、手短に言うぞ、絃子は俺の従兄弟なんだ」」

俺の絃子・・・・二人はそんな関係だったのか・・・

「どうしたんだ??」
「二人はいつからそんな関係なんだ??」
「いつからって・・・ずっと昔からに決まってるじゃねえか」
「昔から〜〜!!!」
「ちょっと待て、お前何か勘違いしてねえか??」
「勘違いって・・付き合ってるんじゃ??」
「な・・・違う!!あいつは親戚同士なんだ」

播磨の一言で、美琴が我に返る。そうか、従兄弟って事だったんだ・・
だったら・・分かりやすく言え!!!
バキッ!!
美琴の強烈な拳が播磨の顔面に直撃した。

「ガハッ・・アノミコトサンオレビョウニンナンデスガ」
「あ・・・悪い・・大丈夫か・・・おい」


播磨は思いっきり吹っ飛んで、倒れた。
反応は無かった。そのまま気を失ってしまった。

「う・・・・いてててて・・・」

播磨は頭を抱えて、ベッドから起き上がった。

「本日二度目の気絶だな!!」
「ったく、誰のせいだよ・・・」
「悪い悪い・・・それより夕食が出来たから食べようぜ」
「何作ったんだ??」
「カレーだよ♪」
「おっ楽しみだな」

二人は椅子に向かい合って腰掛けた。美琴が自分が
一生懸命作った自身作だ、カレーを播磨の前に置いた。
カレーの匂いが充満する。

「どうだ!!」
「うまいぜ!!周防料理うまいんだな!!」
「そうか、そう言われると作ったかいがあるぜ」

周防は少し照れていた。

「周防と付き合う人は幸せだな」
「え?」

周防の頬が赤く染まった。面と向かって言われれば
誰だって、恥ずかしい。
美琴は緊張して何を話せばいいか分からなくなる。
すると、いつの間にか、いつもの倍はある、量を
簡単に平らげてしまっていた。
どういう胃袋をしているんだ・・・

「お前・・本当に良く食うな・・・」
「そうか??普通じゃねえか?」

いや、普通じゃねえだろ!!
美琴は心の中で突っ込んだ。
外はまだ、雨が降っている。播磨の熱も下がっていない。

「なあ、播磨、この後どうすんだ??」
「そうだな??どうしようかな??」
「良かったら泊まっていけよ」
「へ!?」
「あの・・何だ・・お前だったら何の心配ないからな」
「泊めてくれるって言うなら、これ以上嬉しい事は無いが・・・」
「お前の話も聞きたいしさ」
「何だよ!!俺の話って」
「分かってるくせに♪」

美琴は播磨に空き部屋を貸して、布団を丁寧に敷いた。
私は播磨のこと知らない・・・
昔は名の通った不良だった見たいだが、とてもそんな
感じには見えない。

「周防・・それぐらい俺がやるのに:
「いいって、お前は風邪なんだからゆっくりしてろって、お前の話でチャラだ」
「だから、俺のって・・・・まだか・・・

播磨は暫く考えて、ムンクの叫びみたいな顔になっていた。
播磨は表情がいろいろあって面白い。
思わず、少し微笑んだ。

「っでお前の好きな女の子って誰だよ??」

美琴は分かっているのに、わざとらしく、聞いた。

「それは・・・言えねえ・・・」
「そういえば天満がさあ〜」

ピクッ・・・播磨の体が反応した。

「お前・・・知って・・・」
「え〜何のこと私は知らないけど〜まさか〜」
「てめえ・・図ったな!」
「それで、告白したの??」
「それは・・・・」

すると、播磨の大きな体が縮こまった。
そして、落ち込んで答えた。

「天・・いや・・・塚本は好きな人が居るんだ」
「烏丸君だね」
「周防知ってたのか!?」
「天満の顔を見てたら分かるだろ」
「そうか・・・」
「それでお前は諦めるのか?想いを告げないまま。そんなのお前らしくないぜ!」

美琴は播磨の肩に手をかけて、揺すった。播磨は
少し寂しそうな目をしていた。こんな播磨らしく
無いと思った。

「俺らしくない・・か・・・そうだな・・アリガトな!周防」

播磨は笑って見せた。それに答えて、美琴も笑った。

「さあ、そろそろ休もうぜ、お前も疲れただろ」
「ああ、そうだな、お休み・・周防」
「おやすみ」

周防は部屋から出て、風呂場に向かう。
美琴は風呂場に行って、汗かいた体を洗う。
播磨に風呂の事を言うの忘れた・・・・
そう、呟いた。
風呂から出て、美琴はパジャマに着替え、髪の毛を
乾かした。そして、自分の部屋へ戻った。
そして、布団の中へ入り、目をつぶりながら、播磨が成功するように
祈りながら、夢の世界へ旅立った。

「周防・・お前に言いたい事があるんだ!!」
「何だ、改まって?天満はどうしたんだ??」
「いや、前は天満ちゃんの事が好きだったが、今はもっと好きな奴が出来た」
「え!?初耳だぜ!!誰だ?沢近か?」
「それは周防・・・お前だよ!」
「へ・・・ええ〜〜〜!!」
「俺と付き合ってくれないか?」
「そんなこと・・言われても・・・」
「俺じゃ駄目か??」
「そんな事ない!!」

美琴は赤くなっている事を隠す為に、下を向いた。
やだ・・何であたしは緊張してるんだろう・・・
胸の高鳴りは一体・・・

「周防・・・・・」
「播磨・・・・・」

播磨は徐々に近づき、美琴の顔に近づける。

「目を瞑ってくれないか??」
「え・・・・そんな・・・」

美琴は反射的に目を瞑った。播磨の吐息が聞こえた。
もう、逃げる事は出来ない・・・
播磨の唇が徐々に近づいてくる・・・

・・・・・・・


「やっぱ、ちょっと待ってくれ!!」

美琴はベッドから勢い良くベッドから起き上がった。
息を切らしながら、辺りを見回した。
間違いなく、自分の部屋だった。

「はあはあ・・夢・・か??それにしてもさっきの夢は・・」
「ん??どうした、周防、大きな声を出して?」

播磨が私の大きな声で心配になって、私の部屋にやってきた。
お互い、見つめあった。
思わず、美琴は視線を外した。

「何でもない、心配するな!」
「お・・おう・・と言うか、お前が学校は??」
「へ!?」

美琴は時計を見た。8時・・・・完璧に遅刻だ・・

「やべえ、遅刻しちまう!播磨何で起こしてくれなかったんだ!」
「だけどよ〜女の部屋に入るわけには行かなかったからな」

美琴は急いでパジャマを脱いで、制服に着替えた。
って言うか、ミコトサン・・ワタシガイルノオカマイナシデスカ・・・
美琴は今、播磨が居るのをすっかり忘れているようだ。
播磨は思わず、部屋から抜け出た。

「お前学校は!?」
「あ〜面倒だ」
「お前も行くんだよ!!」
「へ!?」

美琴は播磨の手を引っ張って家を出た。寝癖とかを直さずにそのまま出てしまったので、あとで皆に何を言われるか分からない。
播磨は美琴の力に抵抗できずに、ただ、引っ張られるだけだった。



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