Re: RainyGirl(旗) ( No.1 ) |
- 日時: 2006/07/04 19:21
- 名前: ちょろ丸
- ACT.1
ある日の昼休み、矢神高校の屋上。一人の男がいつものようにそこに居た。周りからみればなんのことはない、髪をオールバックにしてそれをカチューシャで留め、黒色サングラス、そして特徴的なヒゲ。日常と変わらぬ播磨拳児。しかし、彼自身はいつもと違っていた。普段は、のほほんと昼寝するか、マンガを見てもらうかしている。今はと言うと告白して(誤解も説明した)撃沈した。だから心の傷を癒すためそこにいた。 「わかっちゃいたんだが…俺の気持ちに気付いてもらうにゃこれしかなかったしな……まぁ過ぎちまったことだ。しかたねぇ」 そういうと彼は屋上を後にした。
教室に戻り、自分の席につき今後のことを考えた。すると聞き慣れた声の女子達の会話が耳に入ってきた。 「ねえ、天満さっきヒゲとどこかに行ってたみたいだけど何してたの?」 ちっ お嬢、余計なことを聞くな。 …グサ 「うん‥‥ちょとね。」 「あっれ〜? もしかして塚本―」 んが!? それ以上深入りすんな周防!!…グサグサ 「そうなんじゃい美琴さん」 NOooo!!なんだあの高野とかいう女。コッチ見て意味深にニヤリとしやがって。 …グサグサグサ ん? さっきっからなにか刺さっているような――っ!! 次の瞬間、反射的に顔をもとのいちに戻す。彼が見てしまったものは、蛇をバックにものすごい剣幕でにらみつけている沢近の姿。しかも、目があったとたんにっこりと笑いかけてきた。蛇は八又のオロチ、剣幕は殺気のようなものに変わって…… そんな彼女にヒビリながら播磨は、今日という日が早く終わるのを心から願った。
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Re: RainyGirl(旗) ( No.2 ) |
- 日時: 2006/07/04 21:00
- 名前: ちょろ丸
- ACT.2 (後もう少しでここから抜け出せる。早くHRを終わらしてくれ谷さん、このままじゃ俺は…)
時を戻して昼休みの後の体育の時間、テニスをすることになった。 (ぜってー天満ちゃんにいいとこみせる!!) 播磨はフラれたあと今後のことを考えていた。やはり、始めは、学校を辞めようと思ったが 天満が自分のせいでやめたんだ。 と思いしょげている姿を想像すると辞める気が消えた。そして、こう腹に決めた。 「天満ちゃんを振り向かせて、おっかけさせるような漢になる!!」 そして、今はと言うと (おっ チャンスボールじゃねぇか よし、ここは一発ビシッと決めてやる!) 全ては天満の為に がしかし、 ドゴッ 「ふが!?」 突然ボールが顔を直撃した。 「いってーな、誰だやったヤツ!!(せっかく天満ちゃんに、雄姿を見せられたチャンスだったのに!!)」 ボールが飛んできたほうを見た。そけには、ラケットを持っていない今鳥と高野の姿だけだった。
時間は戻って、HR (今思うと、あれやったのお嬢じゃねぇのか?アイツ、スポーツけっこうできるし、カーブドライブ使えばできんじゃねぇか?) ピンポーン 大正解!! (おっ 話が終わったみてーだ。一刻も早く帰ろう。さっさと、ここから出よう。) ぽむっ 「――っ!?」 突然肩を叩かれた。誰の手がそうしたか見るまでもない。昼休みとは段違いの“気”が播磨の身を斬り付けるようにして誰の手なのか伝てきた。 「ア、アノ サワチカサン。ワタクシメハ、ナニカアナタサマニ、ゴブレイヲハタライタデゴザイマショウカ」 「ちょっと付いてきて。そしたら話してあげるわ」 「ハイ、ワカリマシタ」 播磨がそういうと、二人は荷物をまとめて、誰も居ない教室を後にした。
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Re: RainyGirl(播磨×沢近) ( No.4 ) |
- 日時: 2006/07/21 17:47
- 名前: ちょろ丸
- ACT3
しぶしぶ付いていく播磨、彼の頭には逃げたら殺されるという考えでいっぱいだった。 「やけに素直じゃない」 「ソ、ソウデゴザイマショウカ」 「まぁいいわ」
着いた所は、体育館裏 数歩だけ播磨から離れた沢近が振り返った。 「さて、なんで私がアンタをここまで連れてきたかわかるわね?」 「あ? 俺が何したってんだ?」 「しらばくれないでよ! アンタ、昼休みに天満にみょうなこと言ったでしょ」 「んな変なことなんて言ってねぇよ。俺はただ…」 「何よ、早く言いなさいよ」 (しまった!! まさか天満ちゃんにコクったなんて言えねぇ、絶対そのことネタにして色々言ってきやがるにちげぇねぇ…どう切り抜けりゃいいんだ) 突如、播磨の電球が光った。 「実はなこの間、妹さんとは付き合っちゃいねぇっていったのにまだ勘違いしてるみたいだったから、キッパリ付き合ってないって言ったんだ。」 (ナイス! 俺!!天満ちゃんにはこの話もしたから嘘ではないはずだ) 「え! そうだったの!?」 「何そんな驚いてんだ? それにお嬢、お前俺が塚本に何言ったと思ったんだよ」 「えっそれは…その…」 「なんだよ らしくねーぞお嬢。はっきりしろよ」 「私てっきり天満に付き合ってとか言ったんじゃないかと思ったの。それで八雲がいるのにその姉とも付き合うなんてサイテーとか思ってた。」 「あのな、お嬢。俺はフタマタなんぞしねーよ。俺は一途な硬派だ…つーかなんで俺が塚本にコクったと思ったんよ」 「あっ、それはね天満が昼休み終わった頃から表情だけでしか笑ってなかったから」 (なるほどだからわかったのか、一瞬マジでバレたかと思ったじゃねーか) これで殺されることはないと安心している播磨に沢近はこう切り出してきた。 「まぁそれはよくわかったわ、ところでさヒゲ」 「今度は何だ?」 「あの…さ わ、私のことどう思ってる?」 「はぁ? なんだそ―」 言いよどんだ播磨が見たものは、あの見合いの前日に見せた真剣な顔の沢近だった。 (真剣には、真剣に伝えなくては) 瞬時にそう思った。しかし、実際のトコロ 播磨は沢近のことをあまり知らない。だから、応えようにも応えられなかった。 (で、どうするよ まぁこういう場合は整理するしかねーな) 播磨は珍しく冷静に対応していた。そして、沢近との接点を思い出し、その時の気持ちも掘り起こす。ここまでできるのも、相手の真剣さに応えなくてはという播磨の強い意志からとしか言い様がない。 (そうだな… あの時も、どの時も 俺はコイツのことを――) 「いいかお嬢 恥ずかしいから、一回しかいわねぇからな」 「わかったわ」 「無理してつっぱることが多くて見てられねぇ。そんで、そのつっぱりが折れちまったとき支えてやらなきゃと思うヤツ これでいいか?」 いいきった播磨は、これならいいはずだ。後は逃げるだけと思った。そして、「これで、用は済んだよな? そいじゃーな」と言おうと思ったが、沢近の顔が先程よりも赤くなっていることに気付き沢近に近づいていった。 「おい、どうしたんだよ? やっぱらしくねーぞ」 と言いながら、沢近の顔を覗き込む。それと同時に、体に重みを感じた。 「好き」 自分に体重を預けられ、上目遣いでの急な告白。それにあわてながらも、播磨はこう言った。 「これって…ドッキリ?」 「ううん、違う 私の本当の気持ち あなたが大好きなの」 播磨は再び考えた。 (俺は天満ちゃんにフラれている しかし、あきらめないと誓った だがらここでお嬢をふろうとおもう でも、なんか引っ掛かる) そんなカンジで頭のなかがグルグルとしている。テキトーに誤魔化そうしたがいままでの経験上、正直に言ったほうがいいと思い播磨は口を開いた。 「じ、実は俺には す、好きな娘が他にいるんだ」 沢近はそのコトバを聴いた瞬間、頭が真っ白になった。
ドカッ
播磨は押し倒された。押し倒した沢近は、運悪く頭が石にあたりのびてしまった被害者を見るまでも無く、走り去っていった。
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Re: RainyGirl(播磨×沢近) ( No.5 ) |
- 日時: 2006/07/21 17:44
- 名前: ちょろ丸
- ACT.4 しばらくして、播磨は目を覚ました。
「てて、あれ? お嬢居ねーじゃねーか…」 帰ろうと思い腰をあげたとき、近くに鞄が落ちていたのに気がついた。 「これってアイツのだよな絶対に……しゃあねぇ持って行ってやっか。ちょっと恐いケド」 少し速い足取りで学校を後にした。 どんよりとした空の下、播磨はさっきの引っ掛かりについて考えていた。 (なんだったんだあれは 俺はお嬢をどうとも思ってないわけだし)
(いや、) (俺はお嬢を気にしているのカモしれない なぜならいままで色々面倒事に巻き込まれたが、気にしていないなら無視できたはずだ。お嬢は俺が好き、俺はお嬢を少なからず気にしている。なら、付き合っても…… ダメだ俺は天満ちゃんを振り向かせようと決めたじゃないか) そうこう考えているうちに雨が降りだした。播磨は持ってきていた傘をさしながらまた考え込みはじめた。 (しかしながら、天満ちゃんは烏丸が好きだ。俺に振り向いてくれる確立は低い。ならやっぱお嬢と……いや、俺の天満ちゃんへの気持ちはそんなんじゃヤワなもんじゃねぇ それにそんなことで真面目に俺のことを思っているお嬢にも申し訳ない) 気付くと前方にぽつんとたっている沢近の姿を見つけた。播磨は小走りで彼女に近づいていった。
END
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