少しは素直に・・・(播磨・沢近+α)
日時: 2005/08/25 21:02
名前: スズ−キ

S3で投稿させていただきましたが中途半端なところで終わってしまったので今度は終わらせるようにしたいと思います



プロローグ

「俺はいったい何をしているんだ?」

今日播磨は天敵のお嬢こと沢近の買い物(荷物持ち)につき合わされていて両手にたくさんの荷物を持っていた、こうなった経緯はというと一昨日の学校で・・・

「美琴さんちょっといいかしら?」
「どうしたんだ高野?」
「ちょっと私達で愛理の後押ししてみない?」
「沢近の?」
「そう、私たちの親友が初めて恋をしているのよ」
「あ〜はりうぐっ!」
「美琴さん声が大きいよ」
「わりい、わりいでもそれは余計なおせっかいじゃないのか?」
「愛理はこの先ここまで興味を示す男に出会わないと思うわ」
「まー確かにな」
「そこで私たちが愛理と播磨君を引き合わせようと一肌も二肌も脱ごうと・・・」
「高野、お前最近おかしくないか?」
「それは夏だから」
「でもどうやって引き合わすんだ?沢近は簡単だけど播磨は・・・」
「私からすればどっちもどっちなんだけどね・・・じゃあ愛理に明後日十時に駅前に来るように言って理由は買い物でどうかしら?」
「いいんじゃないか?」
「それじゃあ任せたわよ」
「ああ、わかった」


「おい、沢近」
「何、美琴?」
「明後日買い物に行かないか?」
「別にいいけど・・・」
「それじゃあ明後日十時に駅前でな」
「わかったわ」


「播磨君ちょっといい?」
「ん?何か用か?」
「明後日暇かしら?」
「あーバイトもねえし暇だな」
「それじゃあ買い物に付き合わない?」
「何でおめ−の買い物に付き合わなきゃいけないんだ」
「私じゃないわ、播磨君がいつも話をしてる髪を両側で結んでいる・・・」
「て、塚本なら行くぜ!」
「そう、じゃあ明後日十時に駅前ね」
「おう」


『しかし何で天満ちゃんは直接俺に言わないんだ・・・!そうか俺に直接言うのが照れくさいんだな、なるほど、だから友達に頼んだのか、そういう所も可愛いぜMy Angel』

妄想でいっぱいの播磨であった


そして当日

「天満ちゃんまだかな?」
「あれ?ヒゲあんた何してるの?」
「ん?げっ、お嬢!?」
「何?私に会ってなんかまずいことあんの?」
「いや、別に無いが・・・」

プルルルル、沢近の携帯がなった

「はい、あ、美琴?今どこ?」
《沢近今日行けなくなったんだ、すまん・・・で、ちょっと高野と代わるね》
《愛理?私からちょっとしたプレゼントで播磨君そばにいるでしょ、今日一日播磨君を自由に使っていいわ》
「何でヒゲがいることわかるのよ、それに何でヒゲを・・・」
《愛理、一言言っておくわ後悔したくないなら素直になりなさい・・・ちょっと播磨君に代わって》
「・・・わかったわ、はいヒゲ」
「何だ?」
「いいから晶から話があるって」
「俺だ」
《播磨君?一昨日言ったとおり愛理の買い物に付き合ってね》
「あ?約束と違うじゃねーか」
《どこか違ったかしら?播磨君、愛理とは話さない?》
「いや、毎日話すな」
《髪型は?》
「両側で結んでるな・・・!」
《播磨君がかってに勘違いしたんでしょ、そのこと言いふらされたくなかったら・・・》
「わかった・・・」
《あと播磨君、今日一日愛理のこといつもと違った目線で見てあげて》
「ん、お嬢を?」
《そ、じゃあ今日一日楽しく過ごしてね、ピッ》
「で、何だったの?」
「お嬢、今日一日買い物に付き合ってやるよ」
「ま、ヒゲがそういうならつき合わせてやってもいいわ」
「け、ほら行くぞお嬢」
「待ちなさいよ」

そして一時間もしないうちに播磨の両手はふさがった

 

Re: 少しは素直に・・・(播磨・沢近+α) ( No.1 )
日時: 2005/08/12 23:53
名前: スズ−キ

喫茶店にて

「お嬢、後どれ位買うんだ?」
「そうねー、じゃあ少し休憩しましょうか」
「そうしてくれ」

二人は近くの喫茶店に入りました

「ヒゲ、あんた何頼むか決めた?」
「ああ、決めた」
「そう、すいませーん注文お願いします・・・紅茶と・・・ヒゲは?」
「コーヒー」

それからしばらく二人の間に沈黙が続きました、播磨はもちろん天敵であるお嬢に話し掛けられず、沢近は沢近で何かと関わりのある播磨に気まずくて話し掛けられないのでした

「ねぇ、ヒゲ・・・」
「何だ?お嬢」
「あなたに色々と訊きたいことがあるんだけど・・・」
「俺に・・・?」
「そう、あんた私のこと嫌い?」
「何でだ?」
「銭湯のとき大声で私のこと嫌いって言ったわよね・・・それに私があなたに話し掛けたときも蔑ろにされたし・・・あんたは私のことどう思ってるの?」
「・・・あのよ銭湯の時って学校に泊まったときの事か?」
「ええ、そうよあんた自分が言ったことも忘れるの」
「あれは吉田に言ったんだが・・・あいつのせいで俺のイメージが台無しにされたんだ、思い出したらまた腹が立ってきたくそっ」
「え?私に言ったんじゃないの?」
「あん?何でおめーに言う必要があるんだ?」
「え?だって色々とあんたに悪いことしたかなーって思って・・・」
「別に俺はお前に怒ってもないし嫌いでもねえ、あと話って何のことだ?」
「え、あの打ち上げの時私があんたに話し掛けたでしょ・・・」
「・・・お嬢、あの時俺はお嬢と話す余裕がなかったんだ・・・考え事しててよ・・・」
「そう、わかったわ」
「ところでよ、お嬢どこか具合悪いのか?」
「え?どうして?」
「いつもならもっと俺に理不尽なこと言ったりするだろ、今日はないからよ」
「心配ないわ、さ、そろそろ再開するわよ」
「おう」
Re: 少しは素直に・・・(播磨・沢近+α) ( No.2 )
日時: 2005/08/11 13:12
名前: スズ−キ

尾行

沢近と播磨(荷物持ち)が買い物しているところを建物の陰から見守ってる?人影があった
もちろんこの計画の発案者の高野、そしてアシスタントの周防であった

「なぁ、高野、何で私ら沢近達を尾行してるんだ?」
「ズバリ・・・面白いからよ!」
「おお!・・・んでその手にもってるものは?」
「盗聴器の受信機とデジカメ・・・ふふ、愛理が播磨君と絡むといつも見せない顔をするからね、それが高く売れるのよ」
「ふ〜んって売るのかい!?」
「そ、それで部費のたしにね・・・」
「!お、あいつら移動するぞ」
「じゃあ気づかれないように行くわよ」


ここから尾行中の周防の思考

なるほど・・・高野の言うとおり播磨と絡むと沢近、私達といる時と同じようにいろんな顔してるな・・・
沢近は否定しているけどやっぱり播磨に気があるんだろうな・・・
それに対して播磨は沢近に対して照れる訳でもなくめんどくさがる訳でもないし・・・播磨は沢近の事どう思ってるんだ?
高野は全部知ってそうだな・・・
私は何もしないで失恋して後悔してるから沢近にはそういう思いはさせたくないけど口を出すのはやっぱお節介だよな・・・


再び尾行中

「・・・なぁ、高野・・・」
「どうしたの美琴さん?」
「私さっきから考えてたことあるんだけど・・・」
「愛理の恋についてかしら?」
「な、何でわかるんだよ!?」
「それで愛理には失恋とかそういう思いをさせたくないと」
「・・・・・・」
「私にもこの先愛理と播磨君がどうなるかわからないけど播磨君なら悪い結果にはならないと思うし、残りの高校生活も播磨君がいれば楽しいものになるだろうし」
「意外だな、高野ずいぶん播磨の事買ってるんだな」
「買っているって言うより感謝しているわ、播磨君、もちろん愛理、天満、美琴さんにもね・・・私は高校に入って愛理は中学から一緒にいたけどそんな楽しいことはないと思ってたんだけどね・・・高校一年のときに美琴さんと天満に出会って掛け替えのない仲間が出来たわそして二年になって同じクラスになってから毎日が楽しいって思えるようになったわ・・・播磨君にはそういう才能があるのかしらね・・・」
「高野・・・」
「さ、尾行するわよ」
「ああ、わかったぜ」


数日後に沢近の写真が売り出されたのは言うまでもない
Re: 少しは素直に・・・(播磨・沢近+α) ( No.3 )
日時: 2005/08/19 22:47
名前: スズ−キ

播磨の葛藤

喫茶店での休憩から6時間後に買い物の荷物持ちから解放された播磨は言葉に言い表わせない疲労感でいっぱいだった

「今日一日なんだったんだ?・・・まぁ、荷物持ちから解放されたし家に帰って寝るかな」

だが帰宅後に家の家主の刑部絃子に今日の出来事を聞かれさらにモデルガンで撃たれかけることになろうとは・・・

「おう、帰ったぞ」
「お帰り拳児君、今日一日沢近君と楽しく過ごせたのかね?」
「な、何で知ってんだよ!?」
「ふっ、そんな事よりどうだったのかな?」
「絃子には関係ないだろ」
「・・・拳児君、私に向かってそんな口がきけるのかな?」
「うっ、・・・すいません」

播磨があっさり謝ったのは仕方がない、何せ絃子の後ろから妙なオーラが出ておりさらに両手には播磨を何度となく撃っているモデルガンが持たれていたのだった

「でわ、もう一回聞くが今日はどうだったのかね?」
「・・・明日でいいか?絃子・・・」
「・・・そうか、それならば無理に聞く必要はあるまいゆっくり休むといい」
「あぁ、サンキューな、絃子・・・」


播磨は自分の部屋で今日一日を振り返った

ここから播磨の思考

あー疲れたぜ、天満ちゃんじゃなくてお嬢だったから倍疲れたぜ・・・それにしても高・・・なんとかは何を考えているんだ?
俺にお嬢の買い物に付き合わせて・・・
それにお嬢のことをいつもと違った目線で見ろって・・・
お嬢か・・・二年生になってからだよなーお嬢と関わったのは・・・
最初に話したのは雨の日だったか?
あの時のお嬢はいつもと違ってなんだか悲しい表情してたな・・・
今日はそんな顔一回もしなかったな・・・っていうか楽しそうだったな・・・
いつもあんな顔してりゃいいのにな・・・って何考えてるんだ俺は
・・・俺は天満ちゃんが好きなのになんでお嬢のことをこんなに知っているんだ・・・まさかな・・・
試しにお嬢と俺のことを漫画にしてみるか?
いや、しかし俺は天満ちゃんのことが・・・
俺が天満ちゃんにあの笑顔させてあげることができるのだろうか
天満ちゃんは烏丸といるとき一番幸せそうな顔をするよな・・・
天満ちゃんの幸せのためには俺は一体どうしたらいいんだ?
Re: 少しは素直に・・・(播磨・沢近+α) ( No.4 )
日時: 2005/09/03 21:49
名前: スズ−キ

沢近の想い

播磨との買い物を終え沢近邸へと向かう車内

「いかがでしたか、お嬢様?」
「・・・まぁまぁよ、ナカムラ」

しかし、沢近の本心はその言葉と反していた

確かに楽しかったはずなのだが、物足りなかった

本当は播磨のことについてもっと聞きたかった

だが播磨の前だと何もできない

喫茶店で聞いたことが精一杯だった

もっと播磨の事を知りたかった



「・・・お嬢様、大変勝手ながら播磨様のことを調べさせてもらいました、播磨様のプロフィールですが御覧になられますか?」
「・・・」


沢近家の執事ナカムラ、彼は愛理の考えていること、発する言葉の真意に素早く気付くことができる数少ない人間
その中にはもちろん高野が入っている
無言でナカムラからプロフィールを奪って見始めたお嬢様



ここから黙読している沢近の思考(途中にナカムラとの会話)


やっぱり身長は180あるのね・・・
・・・中学三年の時にチンピラから女の子を助け背中に傷を負った、今も傷跡が残っている
へぇ、見なおしたわ
中学の頃一人暮らしをはじめ現在は刑部絃子の所に居候中・・・って何で教師の家に住んでるのよ!
え?何、ナカムラ?続きがある?・・・二人は従妹弟同士、二人の間にはそれ以外の関係はない・・・
・・・私ったら何動揺してるのかしら?
それから・・・勉学はお世辞にもいいとは言えないが本気でやると未知数・・・
運動能力はさらに未知数・・・
特技は喧嘩、絵、動物と意志疎通って何これ!?
勉強と運動能力の未知数は見過ごせたけどこれは特技じゃなくて特殊能力じゃないの!?え?何、ナカムラ?すべて事実?心がきれいな証拠?ってさっきから思ってたけど何で私の考えてることわかるのよ!?
え?口に出してた?
・・・誰にも言わないで、ナカムラ

・・・ヒゲは馬鹿で乱暴で品格無さそうって思ってたけど本当は違うのかしら・・・
ヒゲはやさしさの欠けらすらないと思いたいけどあいつ女の子にはやさしいのよね・・・
今日やっとあの言葉の真意、冷たい態度の意味が分かった・・・でもなんだか物足りない
心が満たされない
あいつともっと喋っていたかった・・・
あいつ私のこと嫌いじゃないって言ってたけど好きでもないって事よね・・・
これから押していこうかしら・・・って何を?
何考えてるんだろ私ったら・・・?
?何かしらこの写真
ヒゲの中学時代の写真?
・・・サングラスで隠す必要のない顔じゃない、美形って訳じゃないけどかっこいい部類に入るわよね・・・
何でサングラスなんてしてるのかしら?
明日聞いてみようそれから口喧嘩にならないように気を付けてみよう
このよく分からない気持ちが何なのか知りたいから
晶も後悔したくないなら素直になれって言ってたし・・・とにかく明日が楽しみだわ


ここから沢近とナカムラの会話


「どうでしたか?お嬢様?」
「よかったわナカムラ」
「ありがとうございます」
「ナカムラ、明日クラスのみんなを呼んで騒ぎたいんだけど・・・」

「はい、そう思いまして準備の方は終わっております」
「・・・」
「どうかなさいましたか?お嬢様」
「何でもないわナカムラ」

改めてナカムラの凄さを思い知らされた沢近であった
程なくして車は沢近邸に着き、明日の準備を終えた沢近は今日一日の疲れを癒すため眠りに就いた
Re: 少しは素直に・・・(播磨・沢近+α) ( No.5 )
日時: 2005/08/24 21:16
名前: スズ−キ

動きだした日


沢近の買い物に付き合った翌日、播磨は一つの決心をしていた

どうしたら天満ちゃんが幸せになれるか、自分の思いは何なのかということを一晩中悩んで出した答え

播磨は今日すべてに蹴を付けるべくサングラスを外し髪をおろして学校に向かった

二年前に出会った自分の思い人にすべてを知ってもらうため

そしてその思い人に悲しい思いをさせないため・・・

播磨が学校に向かっている途中彼の思い人、塚本天満に出くわした

播磨はこの機会を逃さないため彼女を呼び止めそこですべてを彼女に話した

初めて出会ったあの路地でのことそのあとの出来事が誤解だったということ、この2年間見続けてきたこと
しかし結果は彼の予想通りだった


「ごめんね、播磨君、私・・・」
「いや、いいんだ塚本、塚本のおかげで俺は変われた、それに好きという思いよりもっと大切なことに気付いたんだ」
「大切なこと?」
「あぁ、もっと大切なことだ」
「播磨君、教えてくれる?」
「後悔したくないっていう思いだ」
「後悔したくない・・・」
「塚本・・・俺が言うのも何なんだが、俺は天満ちゃんに告白して振られて後悔はしていない、だからよ塚本も後悔しないためにその、烏丸によ・・・」
「播磨君・・・」


二人の間に長い沈黙が続いた
そしてようやく天満が口を開いた


「ありがとう、播磨君私今日烏丸くんに告白してくる」
「おう、頑張れよ」
「じゃあ、私先に行くね」
「おう、じゃあ、またあとでな」
「うん、じゃあね播磨君」

塚本が去ったあと播磨はもう一つ決意したことをやろうとカバンの中から一枚の封筒を取り出した

《退学届け》

播磨は天満のために入った学校なのでこれがちょうどいい終わり方だと自分で納得していた


「これを出したら絃子んとこから出ていかないとな、これで前に進める・・・」
「ダメよ!」


気配が無かったことに驚いきながらも声のしたほうを向いた

そこには高野の姿があった

「播磨君、それ本気で考えてるの?」
「・・・あぁ、そうだよ」
「そう・・・あなたには失望したわ」
「何だと?」
「失望したって言ったのよ」
「何でオメーに言われなくちゃいけないんだ」
「播磨君、あなたが学校を辞めたら淋しがる人がいるっていうこと分からないの?」
「別にいないだろそんなやつ」
「いるわよ、あなたは知らないだけ」
「・・・誰だよ?」
「その答えが知りたかったら学校を辞めずに通うことね」
「何でそうなるんだよ!?」
「ところで播磨君、買い物のとき愛理のこといつもと違った目線で見た?」
「み、見たけど」
「どうだった?」
「ど、どうって・・・お嬢は・・・その、何ていうか・・・」


播磨の動揺する反応を見て高野は微笑んだような顔をした


「播磨君、前に進むには学校を辞めるっていう手段は見当違いよ」
「じゃあどうしたらいいんだよ?」
「その格好で学校に通うのよ、もちろん勉強もするのよ」
「そんなことで前に進めるのか?」
「えぇ、それに誰も淋しがらないわ」
「けど、勉強なんて受験の時以来してないぜ」
「心配ないわ、分からなくなったらあなたには勉強を教えてくれる仲間がいるじゃない」
「仲間・・・」
「例えば愛理とかね」
「な、な、何でお嬢が!?」
「フッ、じゃあ、播磨君遅れないようにね」


播磨が高野の方を向くとそこにはもう高野の姿はなかった

謎なやつだなと思いながら播磨は高野に感謝した

そして退学届けを破り捨て歩きだした

播磨が言った、前に進むかのように
Re: 少しは素直に・・・(播磨・沢近+α) ( No.6 )
日時: 2005/09/03 21:58
名前: スズ−キ

動きだした日2


この日沢近はいつもより念入りにブラッシングをしいつもと違う面持ちで学校へと向かった

登校中というより昨日の夜から愛理の頭の中は播磨に会ったらどうやって家に誘おうかということでいっぱいだった

しかしその努力はこの一言で無駄になってしまった


「よう、お嬢何か考え事か?」
「え!?あ、な、何よヒゲ!?人が考え事してるのに・・・え、えーとヒゲなの?」
「あ?何変なこと聞いてんだ?」


愛理の頭のなかはパニックになってた

昨日、2年前の写真とはいえ播磨の素顔は知っていた

なのに、突然実物が目の前にくるとは思わなかった

播磨に惹かれたのは顔ではなかった

だが顔を最初に見たらもっと早く惹かれていたかもしれない

沢近はとりあえず何か言わないとと思い言葉を発した


「だ、だってサングラスとか髪型が・・・」
「あぁ、それか、もうする必要が無くなったんだ、今思えば別に必要が無かったんだよな・・・」
「何でサングラスなんてしてたの」
「しちゃ悪いか?」


播磨の口調はいつもと違って穏やかだった

播磨自身それを感じていた

心、精神がほんの少し成長したと


「その、悪いとは言ってないけど・・・」


沢近もこの変化に気付いていた

いつもならもっと強い口調なのにと


「な、何かあったの?」
「まあな、それより早く行かないと遅刻するぞ」
「それならい、一緒に行かない?」
「あぁ、いいぜ、ちょうど俺もそう思ってたしな」
「そ、そう、それじゃあい、行きましょう」
「おう、それじゃあ話ながら行くか、昨日お嬢に質問されっぱなしだからな」
「そ、そうだったかしら」
「何だよ、もう忘れたのかよ?そういう訳で今日は俺がお嬢に質問するからな」
「べ、別にいいわよ」
「よーし、お嬢は何か悩みとかあんのか?」
「え?何で?」
「さっきなんか考え事してたし、時々何か悲しそうな顔してるしな」
「そ、そんなことないわよ」
「ん、そうか?」
「き、気のせいよ」
「それじゃあ次の質問、お嬢は俺のこと嫌いか?」
「な、何でよ!?」
「昨日、お嬢が同じ質問しただろ、俺だけ答えるのは不公平だろ」
「そ、その、私は・・・あ、あなたのことが・・・正直、よく分からないわ」
「分からない?」
「うん、私、あなたが自分の中でどういう存在なのかまだよく分からないの」
「同じクラスのやつとかでいいんじゃないのか?」
「そういう感じじゃないっていうのが分かるから答えられないのよ」
「まっ、そのうち分かるんじゃねぇか?お、学校が見えてきたな、勉強頑張るか」
「え!?あんた今何て言った!?」
「勉強頑張るって言ったんだよ」
「本当にあなたどうしたのよ?」
「俺は変わるんだよ、これから」
「それでヒゲ、播磨君は今まで勉強したことあるの?」
「高校に入るとき以来してねぇんじゃねぇのか?」
「分からなくなったらどうすんのよ?」
「・・・」


ここからちょっと愛理の思考


呆れたわ、このヒゲは本当に何も考えてないわね・・・

ん?勉強教えるって事は長時間会話するって事よね・・・

このヒゲと話してると喧嘩になるけど嫌な感じじゃないのよね・・・

学校から帰るともっと素直になって話せばよかったって思うのよね・・・

これを機にちょっと近づいてみよう


ここから会話


「・・・はぁ〜し、しょうがないわねー、そ、その時はわ、私が教えてあげるわ」
「え!!!?」


播磨はちょっと前に高野にからかわれたことがまさか本当に起きるとは思ってもいなかったのでかなり驚いてしまった

さらに播磨は昨日沢近の事を考え、今までのイメージ、天敵という存在ではなく異性であり何か特別な存在となっていた

その沢近に照れながら勉強教えてあげると言われ自分が恋していた天満に見つめられたときと同じような状態になった

サングラスをしていないので表情が沢近に丸分かりということも忘れて・・・


「お、お嬢、じょ、冗談だろ!?そ、そんな事言われても俺はう、嬉しくもな、何とも無いぜ」
「あ、あんた、な、何顔赤くしてそ、そんな事言ってんのよ!」
「う、うるさいぞ!?お嬢!」
「うるさいのはあんたでしょう」



二人のこの言い争いは学校に着くまで続きました

二人の関係は素直にならないかぎり・・・




なかがき?

この駄文読んでくださった皆様ありがとうございます
この話はとりあえずこれで完結であと小話的なものを2,3ほど入れようと思います

 

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