A new the wind blows(播磨×冴子・梢)
日時: 2006/10/31 23:52
名前: KEI

どうしてこんな事になったんだろう・・・
私は・・いつも通りうまくやったつもりなのに・・・
こんな事になるなんて・・・






「(やばい・・・・まずった・・・)」

今の状況を考えると、とても良くは思えない。
二人の女子高校生が、数人の目つきのやばい男に囲まれているのだ。

「ちょっとやばくない?冴子・・・」
「梢・・・・」

そう、彼女たちは矢神高校の女子高校生、三原 梢と冴子だ。
今日はいつもの様に、適当に男を誘い、遊ぼうと思ったのだが。
今、囲まれている男たちは冗談の聞かない奴らだった。
カラオケとかゲームセンターとかで遊んでいたら。
エスカレートしていき、無理矢理、人気の無い場所に連れて行かれてしまった。最初は逃げようとしたのだが、所詮、男と女だ体力の差は歴然だ。それに腕を強く掴まれていて、動けない状況だった。
二人は路地裏の壁に押し付けられた。

「姉ちゃん達、俺たちといい所に行こうぜ〜」
「ぎゃははは、いいねえ〜。俺たちは最高だぜ」

「あの〜返してもらえませんか〜?私たちこれから用事があるんですけど〜」

冴子がいつもの男を落とすように、上目遣いで見つめる。普通の常識の分かる男だったら、それでイチコロだろう。しかし、今の奴らには逆効果だった。
ますます、興奮して、今にも襲い掛かりそうな勢いだった。
梢と冴子は2−Cの美女軍の集まりの中でもトップクラスの美少女だ。
あの、愛理、美琴、晶にも負けも劣らない、ルックスの持ち主だ。
ただし、あの三人と違う事は、男を叩きのめす事が出来ない。


「こんな事だったら、体術習っておくんだったな〜」

冴子は溜息を付きながら、呟いた。

「あんた・・冷静ね・・・・」
「俺たちの車でさ〜楽しくドライブに行こうぜ〜」
「そう、楽しくな!」

男たちの下品な笑い声が何となく癇に障る。
しかし、これ以上刺激すると何をされるか分からない。
ここは黙る事しか出来ない。しかし、動こうとしない
私たちに男たちは徐々に苛立ってきた。

「おい、人が下手に出ればいい気になって、俺たちの言うことに従えばいいんだよ!」

男たちは二人の腕を力強く掴み、思いっきり引っ張る。
二人は足に力を入れ、抵抗するが力では適わなくどんどん引きずられていく。
もう駄目・・・・こんなとこで私の人生が終わっちゃうのかと思うと涙が出そうになる。しかし、そんなとこに救世主がやって来た。

「あ〜だるい・・・・ったく・・・絃子の奴、人をパシリみたいに扱いやがって」

その男は、機嫌が悪そうに、舌打ちしながら、やって来る。
すらりと伸びた長身に黒いサングラスに前髪を後ろに持っていき。ヘアバンドで止めている。矢神高校では知らぬものは居なく、一部では恐れられている不良
播磨 拳児がやって来た。冴子達は、あんまり接点が無かったので誰だか分からなかった。
矢神の制服を着ていることから、同じ学校と言う事だけは分かっている。
無論、隣に立っている男も同じだろう。

「あん?お前ら誰だ?どけや!!」

播磨は興味ないように、適当にあしらって、立ち去ろうとする。
これが天満だったら喜んで助けただろうが、播磨はそれ以外の女にまったく興味が無い。と言うか下心がまったくないのだ。
美女がたくさん居る、2−Cに平然としているのだ。
播磨はその場を後にしようとすると、止めとけばいいのに男が播磨の肩を掴む。播磨は後ろを振り返り、サングラス越しからギロリと睨む。凄い威圧感だ。

「てめえ、いいとこなのに邪魔しやがって覚悟は出来てるんだろうな」
「んだと・・・あれ・・・この制服・・・うちの学校じゃねえか」

播磨は男たちを無視して、隣で立っている冴子達をを見た。
播磨は、この女どもうちの学校居たっけ?みたいな顔をしている。
播磨は自慢じゃないが、記憶力が無い。天満以外すぐ忘れてしまう。

「おい、俺たちを無視してるんじゃ・・・・うげえ!!」

男たちが何か言う前に播磨の強烈な裏拳が炸裂した。
男は、鼻を押さえながらうずくまって。

「てめえ、そんなことしてただで済むと思うなよ!1」
「お前らこそ、俺の名前を忘れられねえ用にしてやるよ。播磨 拳児って言う名前をな!!」

播磨が自分の名前を明かしたとき、男たちが一歩、後ろへ下がる。
顔が少し青ざめた。

「噂で聞いたことあるぞ・・・中学の頃・・・魔王と呼ばれた男が居るって・・」
「だけど・・・あれは中学の話だろ?今は弱くなってるって聞いたぜ」
「さあ・・続きを殺ろうぜ!!近頃、暴れ足りなかったんだよ!!」

播磨が拳を鳴らし、じりじりと差を詰める。口元は笑みを浮かべている。
喧嘩を心から楽しんでいるようだ。

「く・・調子に乗りやがって!!」

男はポケットの中から、ナイフを取り出し構えた。他の奴らも一応、格闘技の経験があるような構えをしている。
播磨は面白そうに、構えた。

「冴・・・やばくない・・・ナイフなんか・・・」
「だけど・・私たちじゃ何も出来ないよ・・・」

二人は黙っていく末を見ているしかなかった。
しかし、二人は恐怖から驚きへと変わっていく。
ナイフ相手に、普通は怯むのだが、播磨は怯んだ様子も無くむしろ、楽しんでいた。

「久々だぜこの感覚・・・・」

播磨は一斉に襲い掛かってきた男たちの攻撃を軽々と避けて、鳩尾に拳を入れる。後ろから来た男、蹴りで顔面にぶち込んだ。
男たちはうめき声を上げて、倒れこむ。
少し、油断したのか、男たちのリーダ格らしき男が。地面に落ちている鉄パイプを手に持ち、播磨に襲い掛かる。播磨は反応が送れて頬を掠める。サングラスがその拍子に吹っ飛ぶ。しかし、播磨はそれに動じず
男の顔を殴り、気絶させた。播磨はすぐに
下に落ちている、サングラスを取り掛けなおす。
あっという間だった。ほんの数分足らずで、数人居た男たちが地面に倒れているのだ。冴子と梢はあまりの出来事に声が出なかった。

「おい、お前ら大丈夫か?」

播磨が、二人に近づく。

「うん・・ありがとう・・・」
「そうか、最近、こんな下衆な奴らがうろついているからな、気をつけろよ」

播磨はそれだけを言うと何も無かったように去ってしまう。
二人はその後姿を眺めていた。少し、頭がボーとしていた。

「ねえ、うちの学校にあんな強くて、男らしい人居たっけ?」
「花井君並だよね・・・サングラスをかけてて、良く顔は分からなかったけど」
「私はチラッと見たけど、結構かっこいいよ」
「また、会えるかな??」
「学校に行けば、会えるんじゃない?」
「ちょっと話してみたいな」

二人は播磨の話で持ちきりだった。実は、同じクラスだった事は知らないのだった。




そして、翌日・・・・クラスで・・・・・
冴子は欠伸をしながら、教室の中へ入る。

「おはよう〜〜」
「おはよう、冴子」

冴子は自分の机に向かい、鞄を机の上に置いて、椅子に腰掛けた。

「ねえねえ、大丈夫だったの??」

円が目の前に机の上に寄りかかり、尋ねた。

「何が??」

冴子が何が何だか分からなかった。

「男たちに変な事されなかった?梢から聞いたんだけど」
「梢・・・あんたお喋りすぎる・・・・・」
「あはは・・・まっいいじゃん、喋っちゃ駄目って事じゃないんだしさ」

三人が、いつもの様に、お喋りをしていると、教室に、ガタイのいい男が入ってきた。

「ういーす」

播磨は、野太い声で軽く挨拶し、自分の机に真っ直ぐ向っていき自分の机に座る。

「おっす播磨」
「ヒゲが遅刻しないで来るなんて珍しいわね」
「おはよう、播磨君」
「おはよう〜播磨君♪」

播磨アイ始動!!My Angel 天満ちゃん〜〜!!
いつもの百倍可愛く見えるぜ。

播磨 拳児・・・・天満馬鹿!!確認・・・
播磨 拳児・・・他の奴らには眼中に無い
播磨 拳児・・・・播磨アイで天満を120%美化

「ねえねえ、冴?あの人って・・・」
「嘘・・・同じクラスだったんだ・・・」

梢と冴子は播磨を呆然と眺めている。教室は相変わらず騒がしい。
だが、一部だけが時が止まってるように見える。こんなすぐに、会えるとは思ってなかったのだ。最初は何を話したら良いのか戸惑ったが、冴子は自然と播磨の近くまで向っていく。梢もちょこちょこと
後に続くかのように付いていく。播磨は相変わらず、天満しか見えていない。こんな美少女クラスなのに・・・

「おはよう、播磨君!」
「ん?お前らは・・・」

播磨は暫く首をかしげて考え出した。まさかとは思うが
覚えてないのだろうか?

「誰だ??」

播磨の一言に、二人は溜息を付いた。どうも、播磨と言う男は頭が悪いらしい。そんな事は薄々分かっていたが。まさかここまでとは・・・
私もそれほど成績はいい方ではないが、播磨はそれを遥かに上回る。
播磨の頭は鳥頭・・・二人は再認識するのだった。

「昨日・・私たちが変な男に絡まれてたとき助けてくれたよね」
「へ?えっと・・・・・おお!あの時の、無事だったみてえだな!」

播磨はポンと手を叩く。ようやく思い出したようだ。
冴子何だか、癪に障るので何か驚かせてやろうと、思った。
冴子は梢に耳打ちし、梢は指でO.Kサインを出す。
二人は播磨の両側に立つ。播磨は何をしてるかサッパリだったので二人を見ているだけだった。

「せ〜の!!!」

冴子と梢は播磨の腕に自分の腕を絡ませる。

「うげ・・・何を・・・」
「な!?」

愛理は物凄い勢いで反応した。晶は相変わらず黙って鑑賞、天満はまだ状況を把握してないようだった。美琴に至ってはどうでもいいように無関心だ。播磨の腕には二人の胸の感触があった。

「(や・・やわらかい・・っていかんいかん。俺には天満ちゃんが)」


播磨は今、自分の欲望と戦っていた。
梢の方は、意外にも大きく、ボリュームがあり
冴子は大きいとは言えないまでも普通の大きさだったが、播磨は思わぬ出来事に石化している。愛理は物凄い形相で睨んでいる後ろには大蛇の姿があった。

「助けてくれてありがとう!!今度、皆で遊びに行こう♪」
「約束だからね」

二人は播磨の頬に軽くキスをして、じゃあねと手を振り、この場を立ち去る。
播磨は石化から灰となり、風が吹いたら窓に砂となり流れていった。
播磨の修復には暫く時間がかかりそうだった。



復活しても、休まる時間は無かった。今。播磨が置かれている状況を考えていると、あまり刺激しない方がいいみたいだ。
目の前には愛理が鬼のような形相で問い詰めてくるし、晶は無言で播磨を見ている。天満は何故だか知らないけど睨んでいる。
これは・・やばい・・・どうする・・どうするよ・・・
俺は一番まともな美琴に助けてくれと訴えたが、見事に
目を逸らしている。万事休すか・・・・

「ねえ・・播磨君?一体どう言う事?」
「えっと・・・これはですね・・・話せば長くなるんですが・・」

愛理はあくまで冷静に対処しようと、笑っているが、口元は引きつっている。

「播磨君!!八雲と言うものがありながら、他の子に手を出すなんて、最低だよ!!」
「つ・・塚本・・それは違・・・」
「お猿さんだよ!!」

天満は、そういい残し、自分の席へ逃げるように立ち去った。
終わった・・俺の恋は儚く・・砕け散った・・・・
最後には愛理のシャイニングウイザードが炸裂し
地面に倒れ伏した。

「播磨〜!!貴様、八雲君だけじゃなく、他の子も毒牙に!!」

学級委員で仕切りやで口うるさい、花井が播磨の方へずかずかとやってくる。
そして、隣には菅も立っている。

「播磨〜〜沢近を喰うだけじゃ飽き足らず、三原や冴子まで〜〜〜!!」
「喰うって何だよ!!」

菅が、目から涙を流しなら、播磨の体を揺さぶる。播磨は今、天満に振られたショックで何も反応できないでいた。

「播磨、お前の根性叩き直してやる」
「落ち着け眼鏡、話せば分かる」

バキドカボカ

「はいはい・・続きは私が聞くから」

一瞬、何が起こったか分からなかったが、目の前では、地面で気絶している花井の姿と、菅の姿が会った。その後ろには美琴と晶が立っている。
推測すると、花井の後頭部を美琴が殴り、菅を晶がスタンガンで気絶させたみたいだった。

「播磨、お前のことだから事情があると思うから、説明してみろよ」
「そうね、このままだと納得いかないだろうし」

周防・・・やっぱりお前は話が出来る奴だ!!感動だぜ
それと・・高田だっけ?お前もたまには役に立つな
今まで、油断なら無くて、怪しい、暗い女だと思ってたが・・・

「悪かったね、油断ならなくて、怪しく暗い女で」
「へ!?」

今の聞こえてたか・・・もしかして・・声に出てたのか??
いや・・そんなはずはねえ・・・

「何言ってんだ高野?」
「私、エスパーだから」
「んなわけないだろ!!」

美琴は簡単に受け流したが、すぐに信じた馬鹿が一人だけ居る。

「(やっぱり・・こいつ油断ならねえ・・・あの冷静さ、エスパーじゃないかと思っていたが・・・)」
「(面白い・・・)」

晶は播磨の妙な行動を見て、面白いと思った。

「それはそうと・・話してくれないか??」
「え・・ああ・・・」

播磨は今までの経緯を簡単に二人を説明した。
二人はやっぱりと納得したように頷いていた。

「そんな事じゃないと思ったよ」
「播磨君にそんな甲斐性ないと思うから」
「それ・・褒めてんのか?」
「モチのロン」
「塚本には私達が説明するから、一応沢近にもな、安心しな」
「手間もかかるけどね」
「お嬢は別にいいんだが・・サンキューな!!周防、高田」
「高野よ・・・次間違ったら殺すわ」
「スイマセンデシタタカノサン」

そして、授業の鐘が鳴り、二人も自分の席へ着いた。
播磨は先ほどの事でドッと疲れたのか、机に伏して
居眠りをしている。(いつもそうだが)
その姿を一人ずっと眺めている少女が居た。

「(播磨君って・・好きな人居るのかな?居なかったら私、立候補しようかな?)」

冴子は顎に手を付きながら、そんな事を考えていた。
私、冴子は本当の恋というものをしたことが無い。そりゃあ遊びに行く事は何度もあるけど、好きになったことは一度も無かった。
たいてい、男の方から声をかけるし、面白いとは思っても好きと思ったことは無い。

「(これが恋なのかな・・・)」

今度は遊びじゃない。だって遊びだったら、こんなに気にならない。
しかも、胸がキュンと鳴る、ドキドキする。心臓の音が
ドクン・・・っと鳴る。私は手を胸に当て、聞いている。
それで、私は先生の話なんか聞いてなかったので注意された。。
播磨は何故だか、教師たちが怖がって、注意をしなかった。と言うか出来なかったのだが。

「(そんなに怖くないんだけどね)」

物理教師の刑部先生と美術教師の笹倉先生と英語の谷先生は別だ。普通に接することが出来る。むしろ、播磨君が真面目に授業を聞いていた。刑部先生と笹倉先生を恐れているみたいだ。あの播磨君を怖がらせる二人って・・一体・・・・
私も最初は、全然知らなかった・・と言うか悪いイメージしか聞かなかった。
私も怖かったので、話もしなかったので覚えていなかった。
でも、そのイメージは大幅に違っていた。沢近さんといつも口喧嘩してる姿も、花井君と争いしている姿も、怖くはなかった。
知らないうちに、播磨の存在が大きくなりかけていたのだった。
そんな事考えているうちに、あっという間に昼休みとなった。




播磨は昼休みになると、播磨はすぐに何処か行ってしまう。
私はソッと後を付けてみた。その時、梢に声かけられたけど・・・

「(何してるんだろう?)」

私は校舎の裏にある花壇の近くの水道場まで来ていた。
播磨はどうやら、水で腹を膨らませてるようだ。

「(播磨君弁当ないんだ・・・・)」

今度、弁当作ってこようかな?
私は密かにそう、思った。
次は播磨は再び、学校の中へ入り、屋上へと続く階段を
上っていく。私もばれない様に後を付いていく。屋上の扉の手前で腰を落とし、顔だけをゆっくりと覗かせる。
屋上では、播磨が誰かを話していたのだった。

「あれは・・・確か・・一年生の・・・」

そう、播磨と話していたのは、学校でも愛理と並ぶトップクラスの美少女、塚本 八雲だった。噂では播磨の恋人とも疑われていた。


「何してんだろう??」

冴子は話している内容は遠かったので聞き取る事が出来ない。
読唇術でも分からなかった。
暫くして、播磨が八雲に礼を言い、八雲はお辞儀をして
元来た階段を降りようとする。私はやばいと思い。咄嗟に、近くにおいてあるカーテンをカモフラージュして隠れる。
何でカーテンが置いてあるのかは、謎だ。
八雲が居なくなったのを確認した後、再び屋上を覗こうとすると・・・

ゴチン!!
冴子の頭と播磨の頭が思いっきり激突する。どうやら、播磨も用を終えたので帰るとこだったらしい。

「いてえ〜・・って・・お前は??」
「えっと・・・あははは」
「いつからそこに・・・・」
「最初からかな??」

冴子がそう言うと播磨の顔が青ざめてきた。
そして、急に播磨は冴子の目の前で土下座をした。
冴子は何が何だか分からなかった。

「どうしたの急に?」
「頼む、天・・塚本には内緒にしてくれ」
「だから、何を??」
「俺が漫画を書いてる事を・・・ってちょっと待て・・話がかみ合って無い・・・まさか、俺らの話聞こえてなかったのか?」
「遠くて分らなかったから・・」
「し〜〜ま〜〜〜っ〜〜た〜〜」
「播磨君、漫画を描いてるんだ?」

もう、言い逃れは出来なかった。播磨は覚悟して
話す事にした。

「ふ〜ん、さっき一緒に居た塚本さんの妹はアシスタントって訳ね〜別に私は播磨君が漫画を描いてようとどっちでもいいけどね」
「だけど、不良が漫画を描いてるっておかしだろ?」
「そういうもんかな〜私は気にしないけどな〜?播磨君は播磨君だし」
「そうか?お前いい奴だな?えっと・・・」
「冴子、まだ名乗ってなかったけ?」
「たぶん、俺が忘れてただけだが、もう忘れないぜ」


少し、播磨の秘密を知って、少し近づいたことを
冴子は嬉しかった。でも・・・今の話を推測すると
播磨君の好きな人って・・・・

「播磨君、塚本さんの事好きでしょ!?」
「な・・何のことやら・・・」

播磨は額から脂汗を流している。播磨はすぐに顔に出るので分りやすかった。

「お前も・・エスパーだな!?」
「エスパー??そんなの見れば分るって」
「そうなのか・・・」

播磨は本気で気づいてなかったらしい。

「えっと・・・塚本さんに悪いけど、何で塚本さんが好きになったの??」
「それは・・話せば長くなるんだが」
「別に構わないよ、聞きたいな〜」

天満には悪いけど、天満より美人の女性はのクラスでは山ほど居る。
播磨は誰にも聞かれたくないので、再び屋上へ引き返し
金網越しに話始めた。それを聞いているだけで
播磨の想いがどれくらいか分かる気がする。
私なんかじゃ、勝てない気がした。

「だけどな、塚本は好きな人が居るんだ」
「・・・・・」

冴子は分っていた。天満が好きな人が誰であるか。
冴子は播磨の話に黙って耳を傾ける。

「播磨君はそんな?諦めのいい人だったっけ?」
「・・・・・・?」
「播磨君のいいとこは馬鹿で、諦めの悪くて、一途なとこじゃないの?」
「それ・・・褒めてんのか・・・・・でも、何だか元気が出たぜ。アリガトな」

敵に塩を送っちゃった、冴子は、笑顔で微笑む。
これでいいんだよね・・・・播磨君は私をまだ見てない・・

「だから、播磨君、お願いがあるんだけど?」
「ん、何だ?お前には世話になったからな」
「私と友達になってくれる?」
「へ・・俺なんかと友達??そんなんでいいのか?」
「うん」
「それは別に構わないが・・・・本当にいいのか?」
「大満足♪」
「じゃあ、宜しくな!俺はそろそろ行くから」

播磨は先に、屋上を出て、階段を降りていく。
私は播磨君の後姿をずっと眺めていた。

「冴〜〜〜あんた抜け駆けは許さないわよ」
「梢?」

すると、梢が物凄い勢いでこっちに向ってきた。
鬼婆のような形相で・・・・
私にもまだ・・チャンスがあるかな??
塚本さんに負けないように頑張ろうかな??

「そっか・・・・頑張るかな?」
「ん?何か言った??」
「何でもないよ〜〜」
「気になるんだけど!」

冴子は微笑みながら、屋上を出る。梢がそれに続く。
いつか・・私も塚本さんみたいになれるかな?
播磨君の一番の人に・・・・
今度は遊びじゃない・・・本当の恋に





風が私の髪を優しく撫でる・・・



新たな風が吹く・・・・




私の恋はまだ・・・始まったばかりである・・・・








            【完】












〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

久しぶりの投稿なんですが、今度はメインヒロインじゃない人を書いてみました。サブヒロインを書いている人が少なかったので、冴子はあんまり出番が無いので特徴が分かりにくかったので大変でした。一応コメディって事にしました。題名の英語は間違ってるかもしれませんが気にしないで下さい。

宜しければ、読んで下さい。


 


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